インスリン治療に負担感 患者の9割以上 より安価な製剤希望 リリー調査
公開日時 2013/06/25 05:00
日本イーライリリーはこのほど、インスリン療法を受けている患者の4人のうち3人が医療費の高さに不満を感じているとの調査結果を発表した。同等の効果でより安価なインスリン製剤を主治医が推奨した場合に切り替えを望む患者は9割を超え、治療費の負担を軽くしたいとの意向も確認された。この調査結果に東邦大医学部内科学講座の弘世貴久教授は、「経済的に負担を感じている患者さんが少なくないということは薄々感じていたが、ここまで負担を感じておられるとは正直想像していなかった」とし、「医師として治療選択肢を提示し、患者さんと話し合っていくことが非常に重要であると感じた」とのコメントを寄せている。
調査は2013年3月1日から18日に実施した。対象はインスリン療法を実施中の20歳以上の糖尿病患者。有効回答数は2650人。その内訳は男性1924人、女性726人で、1型糖尿病が949人、2型糖尿病が1594人、妊娠糖尿病などのその他が107人――。方法は糖尿病の情報サイト「糖尿病ネットワーク」を運営する創新社に委託し、同サイトの患者パネルにインターネット調査を行った。
現在受けている治療の満足度を聞いたところ、満足している患者は約半数で、満足していない患者は1割強にとどまった。次に治療への不満を複数回答可で聞いたところ、「医療費が高い」が76.9%でトップとなり、「長期の治療が必要/治らない」48.4%、「治療効果が実感できない」20.3%と続いた。継続的にかかる医療費負担が重くのしかかっている様子がうかがえる。かかっている医療費は月額平均1万~1万5000円が38.6%と最も多く、1万5000円以上が27.6%だった。そして、医療費負担のために抑えている費用がある患者は約4割いて、このうち食費・生活費を切り詰めている人は4割以上に上った。
次に、インスリン療法開始の際のインスリン製剤の決定プロセスでは、主治医が勧める製剤に決まった人が9割だが、選択肢の提示がなかった人は7割近く。患者自身の考えや希望を伝える機会が少ない状況が示唆される結果となった。そして、「同等の効果でより安価なインスリン製剤を主治医が推奨してきたらそれに切り替えたいと思うか」と聞いたところ、「主治医が勧めるなら切り替えたい」50.1%、「ぜひ切り替えたい」44.6%と、患者の95%が切り替えたいとの意向を示した。