ノバルティス HER2陽性進行性乳がんP3でアフィニトールの主要評価項目を達成
公開日時 2013/05/30 05:00
ノバルティスファーマは5月27日、根治切除不能または転移性の腎細胞がんなどに用いられるアフィニトール錠(成分名:エベロリムス)について、転移性HER2陽性乳がん患者を対象にしたフェーズ3で、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したと発表した。全世界から159施設が参加し、日本からも57人が登録された。詳細な結果は5月31日から開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表される。
このP3はプラセボ対照ランダム化二重盲検として行われたBOLERO-3試験。分子標的薬であるハーセプチン(トラスツズマブ)と微小管阻害薬のナベルビン(ビノレルビン)併用下でアフィニトール(5mg/日)またはプラセボを投与し、両者のPFSを検証した。
HER2陽性の進行性乳がんでは、HER2遺伝子の過剰発現により細胞分裂や血管新生に重要な役割を果たすmTORなどのシグナル経路が活性化され、がん細胞の分裂や成長が制御不能になるとされている。アフィニトールはこのmTORタンパクを標的とする薬剤。
欧州や米国ではすでに一部の進行性乳がんの適応を取得しているが、閉経後など限定的。日本では乳がんの適応を取得していないが、4月にエストロゲン受容体陽性乳がん治療薬として承認申請したほか、HER2陽性乳がんについても開発を進めている。
ノバルティスオンコロジー事業部のグローバル開発責任者であるアレッサンドロ・リバ氏は「エベロリムスは現在利用可能なHER2陽性乳がん治療薬とは全く異なる機序を持っており、今回の試験結果は、進行性乳がんの治療におけるエベロリムスの新たな可能性を示唆するもの」として、「アンメットニーズの残るHER2陽性乳がん患者の治療選択肢の改善に役立つよう今後も努力を続けていく」とコメントしている。