AZ・12年通期業績 主力品特許切れで二桁減収減益 抗精神病薬セロクエルは51%減
公開日時 2013/02/06 04:01
アストラゼネカは1月31日、2012年通期業績が売上高279億7300万ドル(前年同期比17%減)、営業利益81億4800万ドル(同36%減)、純利益62億9700万ドル(同37%減)の二桁減収減益となったと発表した。減収は複数の主力品の特許切れによるもので、経費面では昨年よりも削減できたものの、事実上減収分がそのまま減益に反映された格好となった。年間の配当は1株2.80ドル。
最も減収幅が大きかったのは抗精神病薬・セロクエルで、前期から51%減の28億300万ドル。高血圧症治療薬・アタカンドは特許失効で前年比27%減の10億9000万ドル、10年に特許が失効した抗がん剤・アリミデックスも前年比26%減の5億4300万ドル。
また、セロクエル以外の主力品でもトップ商品である高脂血症治療薬・クレストールがカナダでの特許失効により同国での第4・四半期に前年同期比84%の減収になったことなどを受け、前年比4%減の62億5300万ドル。さらにPPIのネキシウムも米国での低利益率のメディケイドでの処方動向の変動や西欧での後発品との競合などで前年比10%減の39億4400万ドルと、同社の大型品も軒並み振るわなかった。
昨年までの同社のブロックバスターで唯一増収だったのはドライパウダー吸入式喘息・COPD治療配合薬・シムビコートで前年比5%増収の31億9400万ドル。また、RSウイルス感染症治療薬・シナジスが前年比6%増の10億3800万ドルでブロックバスター入りした。ただ、同社の上位20ブランドのうち、シムビコートとシナジスを含めても前年比増収は5ブランドでメガファーマ内でも最も厳しい業績を記録した企業の1つとなった。
地域別売上高ではアメリカ106億5500万ドル(同21%減)、西ヨーロッパ84億8600万ドル(同19%)、日本29億400万ドル(同5%減)、カナダ10億9000万ドル(同31%減)と主要国は軒並み減収。一方、新興国市場全体では57億5200万ドル(同4%増)となり、このうち中東欧などの新興ヨーロッパが11億6500万ドル(同2%増)、中国15億1200万ドル(同17%増)。