FDA諮問委 デグルデクの心血管リスクは市販後調査で検証を
公開日時 2012/12/05 04:00
米食品医薬品局(FDA)の内分泌・代謝薬諮問委員会(EMDAC)は11月8日、ノボノルディスクの1型糖尿病/2型糖尿病薬Tresiba(インスリンデグルデク)およびRyzodeg(インスリンデグルデク/インスリンアスパルト)について、8対4で承認に合意した。また、同諮問委員会は、12-0の満場一致で心血管(CV)リスクを検証するための市販後調査の実施を求めることに合意した。
承認を支持した委員らは、既存の長時間作用型インスリンと比較してデグルデクの利便性と夜間低血糖のリスクを減少される点を評価、CVリスクの評価を待って承認を遅らすべきでないとの見解を示した。
ジョンズ・ホプキンス大学のDavid Cooke医師(臨時委員)は、「同剤の薬物動態は1型および2型糖尿病どちらにも対しても進歩を示している」と指摘したうえで、17本の臨床試験のメタアナリシスで示唆されたCVイベントの安全性については、「確かに医師がこの問題に気を付けることが重要だ。医師が同剤を遠ざけることは適切でないし、個々の患者においてリスク/ベネフィットを考えて決定することが同剤の使用を正当化すると考慮するのは適切でない」と主張した。
ブリングハム&ウイメンズ病院のEllen Seeley医師(委員)は、現在使用できる長期作用型インスリン製剤のサノフィのLantus(グラルギン)とノボノルディスクのLevemir (デテミル)は24時間効果が持続しない点を挙げ、「その点で勝っている」と指摘している。ノボノルディスクは、デグルデクについては1日1回投与を謳っている。
同剤の承認に反対票を投じた委員らは、数百万の患者が同剤に曝露するまえにCVリスクを明確にしたほうが良いと主張していた。
FDAは、2008年12月以降、糖尿病薬のスポンサーに承認前は80%以上のCVイベントリスクを除外すること、承認後は30%以上除外することを求めている。しかし、FDAは、インスリン注射剤のスポンサーに対しては、フェーズII/III計画ではこのリスクレベルを除外することを求めていないが、前向きのCVイベントデータを求めている。
ノボノルディスクの最初の申請データには、16本のフェーズIII試験におけるCVのメタ解析が含まれていた。そのデータは、デグルテク製品群が心血管死、非致死的心筋梗塞(MI)、非致死的脳卒中、不安定狭心症などの主要CVイベント(MACE)を実薬対照薬よりも10%増加させたことを示唆した。この最初のデータ解析はFDAにCVリスクの懸念を抱かせたが、FDAは同社に同剤の進行中の試験データも加えメタアナリシスを解析しなおすよう求めた。その結果、CVイベントリスクは受け入れられる範囲となった。
FDAの統計学者Bo Li氏は、更新したデータデグルデクの安全性を評価するには確固たるもので適切なものと評価している。ノボは、CVリスク問題解決に市販後調査で臨む考えだ。同社のAnne Phillips副社長(臨床開発・医学・薬事担当)は、「FDAがCV糖尿病ガイダンスに基づいてインスリンを評価するのはこれが初めて」と指摘した。
同副社長は、約7500人を登録して市販後アウトカム試験を実施する計画を明らかにした。プライマリーエンドポイントは、CV死、MI、非致死的脳卒中を含むMACEイベントの1回目の発症まえの時間(期間)を評価する。
The Pink Sheet 11月12日号