新薬16成分が承認 希少がん薬 6成分目のDPP-4阻害薬も
公開日時 2012/10/02 04:01
厚労省は9月28日、新薬として16成分26品目を承認した。悪性神経膠腫、悪性軟部腫瘍という希少がんの治療薬を含むオーファンドラッグが4成分。6成分目となる2型糖尿病に用いるDPP-4阻害薬などがある。承認されたのは次のとおり。
▽トービイ吸入液300mg(一般名:トブラマイシン、会社名:ノバルティスファーマ):「嚢胞性線維症患者における緑膿菌による呼吸器感染に伴う症状の改善」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。同一効能を持つ薬剤はなく、同成分の注射剤などはあるが、今回吸入液を追加。
▽ロトリガ粒状カプセル2g(オメガ-3脂肪酸エチル、武田薬品):「高脂血症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。有効成分は魚油由来のイコサペント酸エチル(EPA)とドコサヘキサエン酸エチル(DHA)。肝臓でのトリグリセライド(中性脂肪)の合成や分泌を抑えるとともに、血中のトリグリセライドの消失を促すことで、脂質低下作用を示すという。EPA製剤としては持田製薬のエパデールがあり、同剤は基本的に1日2回に対し、ロトリガは1日1回。
▽ジプレキサ筋注用10mg(オランザピン、日本イーライリリー):「統合失調症における精神運動興奮」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。速効性の製剤で、急性症状を抑えるのに用いる。
▽スイニー錠100mg(アナグリプチン、三和化学)、ベスコア錠100mg(同、興和):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。DPP-4阻害薬で国内では6成分目。1日2回投与。併用可能薬剤としては、α-グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド系薬剤、スルホニルウレア剤、チアゾリジン系薬剤。
▽アイリーア硝子体内注射液40mg/mL、同注射用キット40mg/mL(アフリベルセプト遺伝子組換え、バイエル薬品):「中心窩下脈略膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。眼の中の異常な血管新生によって視力に障害が起こる滲出型の加齢黄斑変性。この薬剤は血管内皮増殖因子(VEGF)の受容体に結合して血管新生の働きを抑え、症状を改善させる。硝子体内に2mgを月1回注射する(維持期は2カ月に1回)。
▽アイミクス配合錠LD、同HD(イルベサルタン/アムロジピンベシル酸塩、大日本住友製薬):「高血圧症」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間4年。イルベサルタンとアムロジピンの配合量は、LDが100mg/5mg、HDが100mg/10mg。承認されれば5番目となるARBとCa拮抗薬の配合剤。
▽プラビックス錠25mg、同75mg(クロピドグレル硫酸塩、サノフィ・アベンティス):「末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間4年。
▽トレシーバ注フレックスタッチ、同注ペンフィル(インスリンデクルデク遺伝子組換え、ノボノルディスクファーマ):「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。1日1回投与の超持効型製剤。
▽メサペイン錠5mg、同10mg(メサドン塩酸塩、帝國製薬):「他の強オピオイド鎮痛剤で治療困難な中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
▽シーブリ吸入用カプセル50μg(グリコピロニウム臭化物、ノバルティスファーマ):「慢性閉塞性肺疾患の気道閉そく性障害に基づく諸症状の緩解」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
長時間作用型の抗コリン薬で、気管支拡張作用を持つ。1回1カプセルを1日1回吸入。
▽ゾシン静注用2.25、同4.5(タゾバクタムとピペラシリンの配合剤、大鵬薬品):「腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆のう炎、胆管炎」の効能・効果を追加する新効能医薬品。再審査期間4年。
▽タイガシル点滴静注用50mg(チゲサイクリン、ファイザー):「深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆のう炎」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬剤耐性菌感染症の治療薬として早期承認するよう日本感染症学会、日本化学療法学会、日本環境感染学会、日本臨床微生物学会から厚労省に要望書が出されていた。
【以下オーファンドラッグ】
▽ディアコミットドライシロップ分包250mg、同分包500mg、同カプセル250mg(スチリペントール、MeijiSeikaファルマ):「クロバザム及びパルプロ酸ナトリウムで十分な効果が認められないDravet症候群患者
における間代性発作又は強直間代性発作」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。抗てんかん薬のクロバザム及びパルプロ酸ナトリウムと併用する。オーファンドラッグ。再審査期間10年。Dravet(ドラベ)症候群は、乳児の重度の難治性てんかんの1つ。同省によると、同剤は、神経伝達を行うGABAを介した誘発電流を増強作用やクロバザムの代謝阻害作用によりてんかん発作を抑える。国内患者数は3000~6000人と推定される。
▽ブフェニール錠500mg、同顆粒94%(フェニル酪酸ナトリウム、シミックホールディングス):「尿素サイクル異常症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。尿素サイクル異常症は、アンモニアを解毒し尿素を生成することが生まれつきできないため、高アンモニア血症により意識や呼吸器などの中枢神経障害を発現し、死に至ることもある。同剤は生体内で酸化されグルタミンと結合することにより、余剰アンモニア産生の原因となる残余窒素を減らし、血中アンモニアの上昇を抑制する。国内患者は約240人と推定される。
▽ギリアデル脳内留置用剤7.7mg(カルムスチン、ノーベルファーマ):「悪性神経膠腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。同省によると、同剤は、腫瘍組織切除後にその部位に貼る数ミリの円形のシート。そのシートを数枚貼り、そのシートから薬剤が放出され、局所に高濃度の成分をとどまらせることで、腫瘍増殖を抑えるという。推定患者数は10万人に数人程度。
▽ヴォトリエント錠200mg(パゾパニブ塩酸塩、グラクソ・スミスクライン):「悪性軟部腫瘍」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。推定患者数は10万人に数人程度。