中外 抗がん剤タルセバ 非小細胞肺がん一次療法の適応拡大を国内申請
公開日時 2012/06/27 04:02
中外製薬は6月26日、抗がん剤タルセバ(一般名:エルロチニブ塩酸塩)について、非小細胞肺がん一次化学療法の適応拡大を同日付で国内申請したと発表した。タルセバは現在、非小細胞肺がんの二次療法などに使用できる。今回の一次療法の申請データはEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者を対象としたものだが、同社は本誌に、「二次療法と同じく、できれば広い適応での承認を期待している」とコメントし、一次療法でもEGFR遺伝子変異陽性患者に限定しない適応取得を目指しているとの考えを示した。
タルセバは1日1回経口投与の分子標的薬で、がんの増殖と発現に関わるタンパクであるEGFR(上皮増殖因子受容体)を阻害する。国内では07年10月に切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺がんについて、11年7月には治癒切除不能な膵がんについて、それぞれ承認を取得している。
EGFR阻害薬のなかで非小細胞肺がんの一次療法の適応を持つのはイレッサ(一般名:ゲフィチニブ)だけだが、イレッサはEGFR遺伝子変異陽性患者に限定される。タルセバの非小細胞肺がん一次療法が、中外の思惑通りEGFR遺伝子変異陽性患者に限定されなければ、大きな訴求ポイントとなる。日本の2015年の年間新規非小細胞肺がん患者数は約9万人、このうちEGFR遺伝子変異陽性患者は約3万人と推計されるという。
タルセバの今回の一次療法の申請データは、国内フェーズ2と海外フェーズ3に基づく。いずれもEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者を対象とした試験。国内フェーズ2の詳細は現時点でこれ以上開示していない。海外フェーズ3はスペイン、フランス、イタリアで行われたEURTAC試験で、患者174人を評価した。タルセバ単独投与と標準的な化学療法であるプラチナベースの化学療法とを比較したところ、タルセバ単独投与群で主要評価項目の無増悪生存期間が統計学的に有意に延長することが確認された。安全性もこれまでのタルセバで報告されているものと同様で、忍容性も確認されたという。