イグザレルト錠 症例情報の収集、解析、フィードバックで適正使用推進
公開日時 2012/04/23 04:02
バイエル薬品は4月20日、第Xa因子阻害薬イグザレルト錠(一般名・リバーロキサバン)の発売会見で、同剤のプロモーション活動の一環として、有効性、安全性のバランスのとれた公正な情報提供を行い、適正使用に務める考えを表明した。
バイエル薬品安全管理責任者の山中聡氏は、「安全第一に、適正に使用していただくことを目的にプロモーション活動を行っている」と説明。適正使用が確保されるためには、医薬品に関する情報が医療関係者や患者に適切に提供され、十分理解されることが必須とし、「医薬品は情報と一体となってはじめて、その目的が達成できる」と述べ、情報提供の重要性を強調した。
適正使用活動は、①添付文書の内容を医療従事者に正確に伝え、理解してもらう②市販後に集積した副作用情報を速やかに、かつ正確に臨床現場に伝える――ことを目標にしていると説明。その上で、適正使用に向けた取り組みとして、循環器内科、神経内科などの専門医を集めた適正使用委員会を承認前から設置し、安全性促進のための議論を深めてきたほか、禁忌症例などへの投与を避けるためのチェックリストなどを掲載した「適正使用ガイド」を作成したことなどを紹介した。プロモーションに活用する製品情報概要などの資材についても、「すべてのマテリアル(資材)は、適正使用ガイドをもとに、それをさらに噛み砕いたものとして作成している。安全第一、適正使用を考えて作成した」と述べた。
また、循環器領域事業部血栓症マーケティング部部長の田中洋介氏は、MR教育も、承認前から適正使用ガイドの解説に重点を置いていると説明した。その上で、「脳梗塞予防に貢献したいという大前提があるので、効果の話もしなければならないが、必ず適正使用の話もする。患者さんのベネフィットを最大限にするためにも、適正使用するということを肝に銘じて発売に当たっていきたい」と決意を表明した。
◎埼玉医科大学・棚橋氏「腎機能低下例への処方は十分な注意を」
同日、講演した埼玉医科大学神経内科教授の棚橋紀夫氏は、発売に当たり同社に求めることとして「必要な情報を公正かつ迅速に提供すること」と述べた。その上で、抗凝固薬は、血液凝固・線溶系のバランスに働きかけるため、出血リスクを伴うとし、「本来、抗凝固薬のもつ特徴から、出血は避けることができるものではない。医師や患者さんに十分に情報を与える」ことが必要との見解を示した。
特に、腎機能低下例への処方に際しては、十分注意を払うことが必要との見解を示し、「クレアチニンクリアランスは必ず図っていただいて、適正使用をしていただきたい」とした。また、「低体重や抗血小板薬を併用している場合は、(出血)リスクが高まってくる」と指摘し、慎重投与項目に該当する症例については、減量も視野にいれることが必要との見解も示した。
そのほか、適正使用に向けた取り組みの一環として、同社が大規模な製造販売後調査(特定使用成績調査)を実施することも分かった。調査は、安全性・有効性の集積を目的に実施。対象症例は、1万例で、症例登録期間は、2015年3月まで。標準観察期間は、2年間(最長5年の予後調査を実施)。
主な解析項目は、▽出血性副作用(特に、腎機能障害患者、高齢者、低体重患者、抗血小板剤併用患者)▽有効性に関する事象(虚血性脳卒中、出血性脳卒中、非中枢神経系塞栓症、心筋梗塞)の発現状況――で、インターネットを用いたEDCシステムを活用し、迅速に情報を収集・解析するという。得られた安全性・有効性情報は、医療関係者に円滑にフィードバックするとしている。