NICE NHSでのリバーロキサバン使用を推奨
公開日時 2012/04/03 04:00
英国立臨床評価研究所(NICE)は3月29日、独バイエルヘルスケアのファクターXa阻害剤Xarelto(リバーロキサバン)について、心房細動(AF)患者における脳卒中および全身性塞栓症の予防の適応症で国民保健サービス(NHS)での使用を推奨するとの最終ガイダンス案を発表した。
同ガイダンス案では、同剤の治療開始時には、医師と患者がビタミンK拮抗剤ワルファリンとリスク・ベネフィットを比較、相談の上、投与すること、また、ワルファリンを服用している患者には、リバーロキサバンに変更する場合には、そのリスク・ベネフィットをワルファリンのINR(国際標準比:プロトロンビン時間)を踏まえて考慮すべきことを推奨している。
NICEは、同剤の費用対効果について、製薬企業提出のICER(増分費用対効果)は2900ポンド、NICEのエビデンス審査班(ERG)はICERを29500ポンドとなったと報告。企業提出のICERでは、ワルファリンのINRモニタリングコスト580ポンドなどは含まれている。一方、ERGの評価では、INRモニタリングコスト242ポンドなどは減じている。
NICE評価委員会では、ワルファリンと比較したリバーロキサバンのICERは、検討の結果、1QALY(生活の質調整生存年)当たり2900ポンドから29537ポンドとし、1QALYはNHSのリソースを使用する範囲に収まるとして、同剤の推奨を決めた。
同剤の暫定的価格は1日2.10ポンド、年間766.50ポンドとなる。価格は、価格交渉での割引により医療機関によって異なる。
NICEのCarole Longsonヘルステクノロジー評価センター長は、「我々はワルファリンを服用している患者にとってINR適正レベルでの血栓予防が難しく、しばしば目標範囲に入っていないことを知っている」とワルファリンでのINRモニタリングの困難さを指摘したうえで、「リバーロキサバンは、最近NICEが推奨したダビガトランと同じように定期的なモニタリングと用量調整を行なう必要がないので、AFの患者はベネフィットを獲得できる」と同剤を評価した。NICEは3月15日にダビガトランについて最終ガイダンスを発行した。イングランドとウェールズには現在、70万人のAF患者がいるという。
NICEは、リバーロキサバンについては、待機的股関節全置換術あるいは待機的膝関節全置換術を施行後の静脈血栓塞栓症の予防適応で推奨している。
また、現在、同剤について、深部静脈血栓(DVT)の治療、DVT再発予防、成人の急性DVTに伴う肺塞栓(PE)予防、急性疾患による入院におけるVTEの予防での評価を行っている。