アジア・スポットライト 中国国家FDAのYin Li新長官の人物像
公開日時 2012/03/29 04:00
中国の国家食品医薬品局(SFDA)のShao Mingi長官が退任後の新長官に誰が就任するのかに注目が集まっていたが、2月10日、保健副大臣のYin Li氏が就任することが発表された。Yin Li新長官は、1962年山東省の省都・済南生まれ。1986年山東医科大学卒業。1988年に公衆衛生の学位取得。1993年にロシアで医療経済学の博士号取得。2003年まで国務院の研究所に勤務。2002年から2003年、ハーバード大学公衆衛生学部客員教授。その後、保健省国際協力部に勤務、2006年に総務省長官、2008年に保健副大臣に就任。
新長官をよく知るハーバード大学公衆衛生学部講師兼同中国イニシアチブ担当部長のYuanli Liu氏はYin新長官について以下のように話した。
国務院時代、Li氏は、中国の複雑な社会経済、人口、保健開発などの問題をトップレベルでの政策決定と同じように包括的に理解していた。Yin氏は1990年代半ばには、よき政策研究者・政策立案者であり、よき友人だった。ハーバードで客員教授を務めていたころ、中国でSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生、中国の政策立案者がどのような対策を講ずるか悩んでいたとき、同氏は、危機管理の方法についてのリコメンデーションを米国から送ってきたことがあった。このリコメンデーションが中国政府の関心を引き、同氏は保健省の仕事を獲得することになった。
同氏は、エビデンスに基づいた政策立案を行う鋭いセンスと新しい物事にチャレンジするセンスを兼ね備えたインテリジェンスのある人物だ。中国と先進国との科学技術の格差もよく認識している。しかし、中国で、経済的かつ政治的に可能なことが何であるかをよく知っている。
SFDAは同氏のリーダーシップのもとで、益々重要かつチャレンジングな責任を果たせるように近代化できると確信している。
Yin Li新長官は、国務院が2月13日発表した「第12次医薬品安全性5か年計画」について就任1週間後に新華社通信の取材に応じた。概要は以下の通り。
全ての医薬品・バイオ医薬品は世界標準か、それに近いレベルにならなければならない。医療機器の90%以上は世界標準になっている。この計画は、安全性を第1番に置いている。医薬安全の責任、リスクの減少、大衆の服薬の安全確保、安全性を優先した科学的監督の実践を求めている。この業務に集中することで医薬品の標準と品質を向上させることが出来る。
Yin氏の受けた医学教育と海外経験がSFDA長官職に役立つとの見方もあり、同氏への期待が高まっている。MWE China Law Office(弁護士事務所)のHenry Chen氏は、同氏がSFDAの政策を改革、前任者との違いを生み出すかコメントするには時期尚早としながらも、「Yin氏は、保健副大臣のときに現行の保健医療システムを改革しようといくつかの提案を採用したことがある」と今後の同氏の舵取りに期待感を示した。
(The Pink Sheet 3月12日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから