オバマ大統領 医薬品不足で大統領令を発令
公開日時 2011/11/02 04:00
ここ数年、ジェネリック医薬品を中心に医薬品の供給不足が社会問題化している米国だが、ついにオバマ大統領が10月31日、「大統領令」(Executive Order)に署名、問題解決に取り組む強い意思を明確にした。
大統領令では、食品医薬品局(FDA)に対しては、現在も行っている医薬品供給状況の調査・報告の拡大、工場での実態報告、承認審査の迅速化、さらに医薬品不足が予想される場合には速やかに報告することなどを、また、司法省(DOJ)に対しては、製品不足に伴う医薬品価格の便乗値上げや買いだめなどの実態の報告とその防止を求めている。不足が顕著なのは注射剤でおよそ不足全体の80%を占めると報じられている。薬効別では抗がん剤が多いという。
ホワイトハウスは、FDA、DOJに対して、調査権限の強化や報告を厳格にさせることで、製薬会社・医薬品卸会社段階での不足に便乗した動きを停止させる狙いもある。
オバマ大統領は、医療上必要な医薬品不足は米国民の健康と安全を脅かしているとの観点に立ち、「我々はもう待てない」と強い意思を込めて、大統領令を発令した理由を語った。また議会に対して超党派でFDAなど関係機関にこの問題解決のための追加措置ができるような法案を通過させることを求めていることを明らかにした。米メディアによると、FDAが関与する問題で大統領令が発令されたのは1985年以来初めてのことで、極めて異例といえる。