バイオシミラー 複数企業参入で大幅に価格低下か?
公開日時 2011/10/07 04:00
バイオシミラー参入の門戸が、大手製薬企業から中小製薬企業まで拡大している。技術革新が進んだことで、発酵、精製、最終製品化まで、低コストで量産化できるようになったためだ。複数の製品が市場に参入することで、20~30%以上の大幅な価格低下も見通されるという。証券会社Sanford C・Bernstein&CoのアナリストRonny Gel氏が、エルゼビア・ビジネス・インテリジェンス主催のウェブセミナーで講演する中で、自身の考えを示した。
Gel氏は、研究所の運営・製品の開発コストなど必須の経費も低下しているとし、「市場に製品を出すには約1億ドルかかる。まだ高額だが、不可能な額ではない」と説明。「我々の見解では、(中小製薬企業が)バイオシミラーの市場に参入するためにコスト競争力面での課題は解決された」と指摘した。バイオシミラーのガイダンスも年末までには、まとまる見通しで、このような流れを後押しすることとなりそうだ。
保険支払者からも、バイオシミラーへ期待する向きが現れてきた。調査会社デシジョン・リソースのコンサルタントのAndrew Merron氏は、保険支払者が最終的には、バイオシミラーの広い採用に大きな影響を与える可能性を指摘する。低コストであるバイオシミラーが普及することで、保険支払者がメリットを得るためだ。
保険者を対象とした調査結果からは、多数の保険者が、バイオシミラーを第一選択薬とする考えであることも分かって来ている。先発品(ブランド品)は、バイオシミラーで十分な効果が得られなかった際の治療選択肢となる。
同氏は、「TNF-α受容体阻害薬は、非常に高価なため、バイオシミラーの使用が増加する」と見ている。さらに、保険者はバイオシミラーの採用増を促すために、新たな償還システムの設立も視野に入れているといい、先発メーカーにとっては脅威となりそうだ。
(The Pink Sheet 9月26日号より)