BMSと小野薬品 抗リウマチ薬オレンシア 日本で共同開発・販売の契約締結
公開日時 2011/09/22 04:02
ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)と小野薬品は9月21日、関節リウマチ治療薬オレンシア(一般名:アバタセプト)と、がん免疫療法剤として開発中の完全ヒト型抗PD-1抗体(開発コード:BMS-936558/ONO-4538)に関して、戦略的提携契約を締結したと発表した。このうちオレンシアについては現在、日本市場ではBMS日本法人が手掛けているが、今後は両社共同で開発・販売する。
オレンシアはBMSの創製品。日本市場ではBMS日本法人が2010年9月から、既存治療で効果不十分な関節リウマチを対象に静脈内投与製剤として販売している。さらにBMSは皮下投与製剤のフェーズ3試験を行っており、2012年の申請を目指している。
今回の契約に基づき、両社は、日本で今後獲得する全ての適応症を含めて共同開発していくほか、▽オレンシア静脈内投与製剤はBMS日本法人▽オレンシア皮下投与製剤は小野薬品――がそれぞれ販売・流通を担当し、それぞれ売上を計上する。また、プロモーション活動は両社共同で行う予定だが、小野薬品は、BMS日本法人が現在実施しているオレンシア静脈内投与製剤の市販後全例調査の終了後からプロモーション活動に参画する。この全例調査は承認条件とされたもので、13年に終了する予定。
◎抗PD-1抗体 日本ではメラノーマでフェーズ2準備中
一方、抗PD-1抗体の「BMS-936558/ONO-4538」は小野薬品と米国メダレックス社の間で2005年5月に締結した共同研究契約の下で創製されたもの。小野薬品が保有していた遺伝子資産を、メダレックス社の抗体化技術で製品化していた。メダレックス社は09年にBMSに買収されたが、その際に、メダレックス社が当初より保有していた抗PD-1抗体の北米の開発・商業化の権利をBMSが取得した。今回の契約によって、小野薬品はBMSに、小野薬品が保有する北米以外の地域の権利のうち、日本・韓国・台湾を除く全世界の独占開発・商業化の権利を供与する。
生体の免疫反応の抑制に関わるPD-1は、活性化したT細胞の表面に存在する。腫瘍細胞はこのPD-1に結合することで生体の免疫反応を抑制し、生体による攻撃から逃れているとされる。BMS-936558/ONO-4538はPD-1を標的とする完全ヒト型抗体で、腫瘍細胞とPD-1の結合を阻害することで生体の免疫反応を正常化させ、腫瘍細胞に対する免疫反応が発揮されることが期待されている。
BMS-936558/ONO-4538は、米国ではBMSが腎細胞がんのフェーズ2試験を実施中で、日本では小野薬品がメラノーマを対象にフェーズ2試験の準備段階にある。小野薬品は将来的には腎細胞がんや非小細胞肺がんといったがん種に開発を広げる可能性がある。