回復・維持期での医師の処方裁量 「あり」が多数も1割弱が「ほぼなし」 医師調査
公開日時 2011/08/23 04:01
医師限定コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアはこのほど、回復期・維持期での薬剤処方についての調査結果をまとめた。これは回復期・維持期の病棟に勤務する医師が、先発品からジェネリックへの変更だけでなく、「この薬剤は高いので使えない」「病態・病期にかかわらずこの疾患にはこれ」という声が聞こえてくるとして尋ねたもの。2353件の回答があり、6割弱は処方裁量は全面的に認められていたが、約1割弱では薬剤処方の裁量権がほとんど与えられていないことが明らかになった。
調査結果をみると、「制限はなく、全て医師に裁量権がある」との回答が、全体の56.9%を占めた。これらの医師からは、「薬を選ぶのは、主治医の仕事」(50代、一般内科、血液内科、総合診療ほか)、「処方制限など、本来あってはならないこと」(40代、一般内科、循環器内科、呼吸器内科ほか)など、言語道断との意見が目立った。ただ、「制限はないが、自らできるだけコストがかからないよう気を配っている」(30代、麻酔科、集中治療科)、「病院側はジェネリックを使用して欲しいようだが、最終的には医師に決定権がある」(50代、消化器内科)などの意見も多かった。
「常識の範囲で認められ、薬局や上司から疑義紹介や、時々指導が入る程度」との回答も30.9%に上る。「採用されていない薬を購入するときは書類を回さないといけないが、特に圧力をかけられ断念するということはない」(30代、老年内科、健診・予防医学ほか)、「普段めったに出ない高い薬の場合は、詳細を問われる場合がある」(40代、一般内科、消化器内科、腫瘍内科ほか)など、必要な手順を踏めば問題ないと声が多かった。
一方、何らかの処方制限があるとの回答は、全体の約1割弱存在しており、そのうちもっとも多かったのは、「どうしても、の時は委員会や上司に決裁を仰ぐがOK」の4.7%。より否定的な色彩が強い、「医師に選択権・裁量権はない」は2.3%、「委員会や上司に決裁を仰ぐことになっているが大抵却下される」は1.1%となった。
こうした医師に受け止めを尋ねると、「採用されている薬で何とかやりくりしている」など、やりにくさを感じているとの意見や、「経営を考えるとやむをえない」など、あきらめを口にする声が目立った。