英NICEのガイダンス案 乳がん治療薬Halavenを推奨せず
公開日時 2011/07/21 04:01
英国立臨床評価研究所(NICE)は7月19日、エーザイの乳がん治療薬Halaven(エリブリンメシル酸塩)を国民保健サービス(NHS)での使用を推奨しないとのガイダンス案を発表した。Halavenについて推奨しない対象の適応は、過去に少なくとも2つの化学療法レジメン治療歴のある局所進行もしくは転移乳がん。
NICEのAndrew Dillon専務理事は、推奨しない理由について、「製薬企業から提出されたエルブリンの臨床試験における有効性のエビデンスの大半は同剤と<医師が選択した療法>の比較に基づいている。同試験では、同剤が患者の生存期間を延長させたこと(2.7か月)を示したが、副作用が他の薬剤よりもネガティブなことが示され、また、QOL(生活の質)についての評価が十分でない」ことを上げた。製薬企業および関係者は同ガイダンス案について意見を提出できる。意見聴取後、NICEは最終ガイダンスをまとめる。
同剤は、NICEが審議中でもNHSで医薬品を使用できる仕組みであるPatient Access Schemeの対象となった。 PASは、保健省(DOH)と製薬企業が償還価格を決め、患者に提供する。償還価格は安い価格に設定される。
NICEは、今回、エーザイとDOHは一定の割引価格に合意したとしている。割引率は明らかにされていないが、質調整1生存年(QUALY)あたりコストは、68,600ポンドを超えると見られる。 最終ガイダンスが発行されるまで、現在、同剤の治療を受けている患者は、医師により同剤の服用を中止することが適切と判断されるまで同剤の使用を続けられる。
◎エーザイがコメント「NICE のガイダンス案に深く失望」
エーザイは7月20日にNICEのガイダンス案に対するコメントを発表。欧州の市場アクセス担当であるNick Burgin は、「前治療歴の多い局所進行性・転移性乳がんに対して、全生存期間の延長効果が実証された革新的な治療薬の使用を推奨しなかった。現在英国においては、エリブリンは世界で最も低価格で販売され、さらに当社は、エリブリンを割引価格で提供する患者アクセスプログラムについて英国保健省と合意している。また、全生存期間の延長効果が実証されたユニークな実際の医療現場の比較データがあるにもかかわらず、NICEが本剤を推奨しないということは、大変な驚き」と述べた。
なお、同剤は、国内では、7月19日に、「手術不能又は再発乳がん」の適応で販売開始された。