オマリズマブ 重症喘息患者の増悪を25%削減 米国胸部学会(ATS)のトピックスより
公開日時 2010/05/24 04:00
吸入ステロイド(ICS)と長時間作用型β作動薬(LABA)を高用量摂取しているにも関わらず、過去1年間に増悪があった重症喘息患者において抗IgE抗体製剤オマリズマブを48週間与える治療の有効性を検討した結果、増悪率が25%低下したことがわかった。5月14~19日に米国ニューオリンズで開催された米国胸部学会(ATS)国際会議のレイトブレイキングセッションで、ウィスコンシン大医学部のBusse氏が報告した。
患者重症度を示す米国のガイドライン・NHLBI Expert Panel Report 3 (EPR-3)では、ステップ5と6においてオマリズマブを併用することが推奨されている。同試験は、オマリズマブとの併用療法の有効性と安全性を検討した、第IIIb試験。
高用量のICSとLABAを安定的に投与されているステップ5と6の重症患者850人を対象に、48週間オマリズマブを追加する被験者群(427人)かプラセボを追加する被験者群(421人)に無作為に割付けた。年齢12~75歳で、過去12ヶ月間に全身性コルチコステロイドを必要とする増悪が1回以上あり、レスキュー薬を1週間に2日以上使用、夜間目覚めることが1週間に1回以上あることなどが、参加基準となった。
主要評価項目は、48週間で発生した喘息増悪(全身性コルチコステロイドの使用が3日以上継続、経口コルチコステロイドを20mg以上使用している被験者では投与量の増加が3日以上継続、と定義)とし、副次評価項目を喘息関連のQOL(AQLQ)、レスキュー薬の吸入回数、喘息症状スコアと設定した。また安全性項目として有害事象も調べた。
その結果、主要評価項目は、プラセボ群が0.88に対しオマリズマブ群は0.66となり、オマリズマブが有意に増悪率を25%削減していた(p=0.0058)。試験開始から増悪までの時間においても、オマリズマブ群はプラセボ群より有意に長かった(p<0.05)。
また被験者をベースラインの使用薬剤の種類により3つに分類し、増悪率の低下を分析した結果、ICS/LABAのみのサブ群と、ICS/LABAに経口コルチコステロイド以外のコントローラを使用しているサブ群で有意差が見られた(それぞれp=0.03、p=0.04)。ICS/LABAに経口コルチコステロイドを併用していたサブ群では有意差はなかった。
副次評価項目のAQLQにおいても、オマリズマブ群で有意な改善が見られた。レスキュー薬の吸入回数と喘息症状スコアは、どちらも改善傾向が見られたが、有意差は認められなかった。また持続性肺炎症のマーカーである呼気中一酸化窒素濃度(FENO)について追跡した結果、プラセボ群では治療期間中変化がなかったのに対し、オマリズマブ群では低下し、16週目、32週目、48週目のどの時点でも有意差が認められた。
有害事象の発生率はプラセボ群79.5%に対しオマリズマブ群80.4%、重度の事象はそれぞれ10.5%と9.3%で、どちらも有意差はなかった。