製薬協 新会長に武田薬品の長谷川社長 新薬加算の恒久化、信頼回復が課題
公開日時 2010/05/20 04:02
日本製薬工業協会は5月19日の総会で、任期満了に伴う役員改選を行い、新会長に武田薬品の長谷川閑史社長を選任した。任期は2年。
長谷川新会長は21日に都内の経団連会館で就任会見を行う。そのため就任にあたりコメントは出さなかったが、総会では選出後に、「大変厳しい状況ではあるが、微力ながら全力を尽くして参りたい」などとあいさつしたという。
4月の薬価制度改革で、業界が求めてきた、特許期間中の新薬が一定条件の下で薬価下がらない仕組みとして「新薬創出加算」が実施されたが、試行的導入にとどまっており、この恒久化に向けた取り組みが課題となる。
また、不祥事により田辺三菱製薬が行政処分を受けたことから、業界に対する信頼回復への取り組みも求められる。そのため製薬協は、「再発防止プロジェクトチーム」を立ち上げ、不祥事を踏まえて問題点や課題を洗い出すなど再発防止策を検討する。その中では、01年に制定され、製造販売承認制度を導入した薬事法大改正以後も見直ししていなかった法令順守ガイドラインの見直しも検討する。
副会長は、不祥事を受けた会内処分の一環として田辺三菱製薬(土屋裕弘社長)が抜け、塩野義製薬(手代木功社長)が新たに選ばれた。ほか4人は再任で、アステラス製薬(竹中登一会長)、エーザイ(内藤晴夫社長)、第一三共(庄田隆社長)、大日本住友製薬(多田正世社長)。
1期2年会長を務めた庄田隆会長は退任にあたりコメントを出し、成果として臨床研究・治験環境の改善、承認審査体制の強化、新薬創出加算の導入を挙げ、今後も重要課題として取り組むことをを求めた。加えて、不祥事にも触れ「このような事案が再発しないように、法令順守の徹底、企業倫理を高揚するための取り組みを一層強化していたたぎたい」としてた。長谷川新会長には「抜群のリーダーシップを確信しております」とエールを送った。
(写真は長谷川新会長:09年11月都内で講演した時のもの)