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東京大・門脇氏 DPP-4阻害薬エクア 24時間の作用持続が特徴

公開日時 2010/04/14 04:00

東京大大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科の門脇孝教授は4月13日、ノバルティス ファーマ主催の経口2型糖尿病治療薬エクア(一般名:ビルダグリプチン)の記者説明会で講演した。門脇氏は、同剤の特徴をヒトのDPP-4への高い選択性と親和性と説明し、「24時間にわたるDPP-4阻害作用がある」と強調した。エクアは、国内2剤目となるDPP-4阻害薬。ノバルティスは同剤を、薬価収載日(4月16日の予定)と同日に発売する方針。


門脇氏は、同剤の投与で24時間にわたり、90%以上のDPP-4阻害率を維持するとのデータを提示。これが臨床上での強い血糖降下作用につながるとの見解を示した。同剤のフェーズ2では、食事・運動療法で十分な血糖コントロールが得られていない患者291人を対象に、エクア50mgを1日2回、12週間投与したところ、プラセボに比べてHbA1cを1.2%改善しているとし、強力な血糖降下作用があるとした。


この血糖降下作用は、▽膵β細胞からのインスリン分泌促進▽膵α細胞からのグルカゴン分泌抑制作用――の2経路からなると門脇氏は説明。1日2回の投与となるが、「朝の1錠で日中の食後血糖値を改善するとともに、夕方の1錠で夜間のグルカゴン分泌を抑制し、空腹時血糖値を改善する」と述べ、1日2回の服用であるために夜間の空腹時血糖値を改善できると、同剤の利点を強調した。


投与対象については、「薬剤を服用していない患者さんでは、HbA1c値が7.5~8.0%の患者については、HbA1c6.5%を目指すことができる」(門脇氏)とし、1剤の投与で治療目標に到達できる可能性も示唆した。インスリン抵抗性が強い患者に対しては、インスリン抵抗性改善薬(ビグアナイド薬、チアゾリジン薬)を第1選択薬にする必要性も説明。「インスリン抵抗性が強い患者さん以外については、DPP-4阻害薬がファーストチョイスになるのではないか」と述べた。


また、DPP-4阻害薬とSU薬を併用するケースでは、低血糖の発現に留意する必要性を指摘。特に、65歳以上でアマリール(一般名:グリメピリド)などSU薬の高用量を併用している場合には、SU薬を減量するなどの対策も求めた。


同剤の安全性については、動物実験で皮膚症状などの発現などが報告されたが、「全世界で数千例2年間程度の治験で、問題となるような副作用は出ていない」と説明。ただ、長期間投与になることや、投与対象となる患者の幅が広がることを踏まえ、同剤が免疫系に働きかけることから、感染症の発症が増加することには留意する必要があることも指摘した。

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