アステラス 米国医薬品会社に敵対的TOB
公開日時 2010/03/03 04:00
アステラス製薬は3月1日、米国の医薬品会社OSIファーマシューティカルズ(ニューヨーク州)に対し、現金による株式公開買付(TOB)を行うと発表した。OSI社は同意しておらず、アステラスは米国東部時間の2日から31日までの予定で買付を行う。買付総額は最大で約35億ドルになる見通し。OSIがもつ抗がん剤のパイプライン、研究開発、マーケティングを生かし、アステラスが重点疾患領域に位置づけるがん領域の事業を加速させたい考えだ。
アステラスによると、13ヵ月にわたり買収協議を進めてきたが、アステラスの提案に対し、2月12日の両社CEOの直接会談でも、OSI社側は自社の価値を極めて低く評価しているとして、提案を拒否。アステラスは1日、取締役会で敵対的TOBに踏み切ることになった。OSI社株1株を53%のプレミア(対直近3ヵ月の終値の平均値)を加えた52ドルで現金により買い取ることを提案している。
OSI社は、自ら創製した抗がん剤タルセバの製造・販売を通じてがん領域の米国事業基盤を構築し、MR・学術担当者で100人弱の体制を持つ。パイプラインでは、インスリン様増殖因子I受容体(IGF-1R)阻害剤で進行性副腎皮質がんの治療薬として開発中(フェーズ3)の「OSI-906」、フェーズ1にあるmTOR阻害剤「OSI-027」など分子標的の低分子経口剤に注力している。OSI社の09年業は、売上高4億2800万ドル、純利益7600万ドル。