PhRMA在日執行委員会・梅田委員長 新薬の14日処方制限の見直し求める
公開日時 2010/02/24 04:02
米国研究製薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会の梅田一郎新委員長(ファイザー社長)は2月23日、東京都内で委員長就任後初の記者会見に臨み、新薬の発売後1年間の14日処方制限の見直しを求めていく考えを表明した。「一部の薬剤には適切かもしれないが、一律に(処方制限を)適用することに科学的根拠がないのではないか」と述べ、処方制限を原則廃止する一方、処方制限が必要な薬剤を限定するネガティブリスト方式の導入を模索していく姿勢をみせた。14日処方制限が廃止されると大規模病院などの新薬採用のあり方が変わる可能性がある。
PhRMAは明日(25日)、14日処方制限に関する医師を対象にした調査結果を公表する予定。梅田委員長によると、多くの医師からは14日処方制限による▽患者の経済的・身体的負担▽患者の新薬アクセス――に対する懸念が指摘され、「医師は14日処方制限の緩和を望んでいる」(梅田委員長)との調査結果になっているという。
新薬の発売後1年間の14日処方制限は、新薬を処方した患者に対する医師の診察頻度を高めて、当該薬剤の安全性を市場でウオッチするためのものとされる。PhRMAによると、14日処方制限は先進国では日本だけのルールという。ただ、子宮内膜症に伴う月経困難症治療薬「ルナベル配合錠」のように、治療法(ルナベルの場合は21日処方、その後7日休薬が1クール)などの関係で発売当初から30日処方となった薬剤もある。
一方、梅田委員長は、10年度薬価制度改革で新薬創出・適応外薬解消等促進加算が試行導入されることについて、一定要件を満たせば特許期間中は薬価が下がらない新ルールのため、外資系日本法人にとどまらず、ファイザーなどの米国本社や米国PhRMAも「非常に喜んでいる」と語った。今後は恒久的な制度となるよう取り組むとした。ただ、新薬創出加算によって日本市場の魅力が高まり、世界からの日本への投資が増えるかどうかについては、「別の話であり、別の問題がある」とし、治験環境の充実などが必要との認識を示した。
そのほか、梅田委員長はドラッグ・ラグの解消や日本人の医薬品アクセスの向上に向けて、日本と同水準の安全性基準を採用している諸外国で承認された薬剤については、「原則として、(製薬企業に)より負担の少ない承認要件を考慮するよう、PMDAに要望したい」と話した。