米下院本会議で7日、医療改革法案が220対215という僅差で可決したが、同法案可決を受け、米医師会(AMA)と米国研究製薬工業協会(PhRMA)がそれぞれ声明を発表した。AMAは歓迎、PhRMAは失望を表明、評価が分かれる格好となった。
AMAは、ヘルスケア改革実現に向かい、「大きな歩みを進めた」と位置づけ、同法案が、米国人の保険カバレッジを顕著に拡大し、患者に意思決定権を与え、保険市場の改革を進め、医療の質向上への投資を促進させ、疾患予防・健康増進を図ると同時に、連邦政府・州政府の財政負担を軽減させるなどと評価、諸手を挙げて歓迎している。
一方、PhRMAは、「失望したが、驚きではない」と法案通過を予想していたことを明らかにし、数百万人の米国人と下院の半数の議員には不安の声が満ちていると不満を表明した。
また、同法案が善意に基づいているとしても、「失業率が10%を超えている米国経済の低迷という背景を考慮すると医薬品業界でも多数の職を失わせる結果になりかねない」と同法案の業界への悪影響について懸念を示した。しかし、PhRMAは、下院の法案が欠陥を持っていても、今後、米国人誰もが保険カバーされ、適切な経費負担で、治療にアクセスできるような「スマートな改革」を目指し、オバマ大統領や議会に協力を惜しまないとの意向も示している。
PhRMAは、10月に上院財務委員会で一定程度共和党の意向を汲んで可決された案を念頭に入れ、今後、上下両院での法案1本化が「スマートな案」になることを期待していると見られる。