塩野義製薬は10月９日、英国との間で、研究開発で国際産学連携するための包括的な協定を締結したと発表した。英国の大学と個々に覚書を交わした上で、これらの大学と情報交換・人材交流・共同研究するほか、優れた創薬シーズを公募して産学連携する同社独自の取り組み「シオノギ創薬イノベーションコンペ」（FINDS）をこれらの大学を対象に11年から開催する。覚書はオックスフォード大学など３大学と交わしており、今後も順次、覚書を締結してネットワークを拡大する計画だ。

世界最高水準の科学技術を誇る英国と包括契約した塩野義は、英国の研究組織や研究者とのアクセスがしやすくなり、同社の研究レベルの更なる向上や、優れた創薬シーズの獲得確率が高まるメリットがある。一方で英国にとっても、アーリーステージの創薬シーズへの投資を呼び込めるメリットがある。

塩野義の手代木功社長は同日、英国大使館で会見し、優れたプロジェクトには１件あたり数百万円規模の投資を行う考えを示しながら、「（順調に研究が進むと）トータル金額で億単位のファンドになるだろう」と語った。ディビッド・ウォレン駐日英国大使は会見で、塩野義を歓迎する意向を示すとともに、塩野義の英国や欧州での研究開発を「できる限りサポートする」と表明した。今回のような包括的な協定は初めての試みという。

≪覚書を締結した大学≫
▽UNIVERSITY　OF　OXFORD▽Imperial　College　of　Science，Technology　and　Medicine▽King’s　College　London
≪覚書を締結予定の大学≫
▽University　of　Aberdeen▽University　of　Strathclyde

写真＝（左）ウォレン駐日英国大使（右）塩野義製薬の手代木社長