塩野義製薬 サイエルファーマを14億2400万ドルで買収
公開日時 2008/09/01 23:00
塩野義製薬は9月1日、米国の医薬品会社サイエルファーマを14億2400万ドル
で買収すると発表した。初旬にも株式公開買い付けを開始する。海外自社開発
品が揃いつつある中で、世界最大の米国市場に足場を作ることが迫られていた
ことから、同市場で急速な成長を遂げているサイエル社の販売力を取り込むこ
とで、突破口としたい考えだ。
サイエル社は、92年に設立され、循環・代謝、婦人科、小児科などの領域に特
化したスペシャリティファーマ。カルシウムチャネル遮断薬スラーや、ニトロ
グリセリン経口スプレーニトロリンガルほか糖尿病治療薬を主力品に主に販売
に注力。社員920人のうち770人のMRと生産性の伸びにより、04~07年は売上高
で年平均36%、営業利益で27%の成長を遂げた。07年売上高は3億8200万ドル、
営業利益は7800万ドルを上げた。
塩野義は、米国展開にあたりサイエル社の力を借りることになった。背景には
自社開発品の抗肥満薬(S-2367)、痒みに直接作用するアトピー性皮膚炎治療
薬(S-777469)、新規抗HIV薬が米国でフェーズ2に達し、S-2367は最速で12
年の上市を目指していることから、橋頭堡を築く必要性に迫られていることが
ある。なお、S-2367は同時に共同開発・販売のパートナー探しも別途、独立し
て動いているという。
海外展開強化のため4月に就任した国際派の手代木功社長が、国際間買収とい
う大手の流れに同社も乗せ、棹差した形。会見した同社長は、「まずは日本と
米国でのプレゼンスを高めることが第一だ」と話した。サイエル社のフォート
CEOは、塩野義の早期段階の開発能力、コンビナトリアルケミストリーへの強
さ、最新の製造設備が魅力であり、「製品、パイプラインも補完し、相乗効果
が期待できる」と説明した。