前立腺がん治療薬・イクスタンジと新型コロナ治療薬・パキロビッド 併用禁忌に 添付文書改訂
公開日時 2025/04/09 04:48
前立腺がん治療薬・イクスタンジ錠と新型コロナ治療薬・パキロビッドパックとの併用を禁忌とする添付文書改訂が行われた。両剤の併用により、パキロビッドの有効成分のニルマトレルビル及びリトナビルの血中濃度が低下し、抗ウイルス作用の消失や耐性出現のおそれがあると判断された。
このほか、▽2型糖尿病治療薬・ツイミーグで中等度又は重度の腎機能障害を有する患者に対して投与は推奨されない旨の記載を削除することなど、▽血友病A等治療薬・デスモプレシン静注4µg「フェリング」の重大な副作用にアナフィラキシーを追記する――との添文改訂も行われた。
添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。
▽ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッドパック、ファイザー)
▽エンザルタミド(イクスタンジ錠、アステラス製薬)
改訂概要:
ニルマトレルビル・リトナビルについて、「禁忌」の項に「次の薬剤を投与中の患者:エンザルタミド」を追記する。「相互作用」の「併用禁忌」の項に「エンザルタミド」を追記する。
エンザルタミドについて、、「禁忌」の項に「ニルマトレルビル・リトナビルを投与中の患者」を追記する。「相互作用」の「併用禁忌」の項に「ニルマトレルビル・リトナビル」を追記する。
改訂理由:ニルマトレルビル・リトナビルとエンザルタミドの併用時における薬物動態学的な影響を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、ニルマトレルビル・リトナビルとエンザルタミドの併用により、ニルマトレルビル及びリトナビルの血中濃度が低下し、抗ウイルス作用の消失や耐性出現のおそれがあることから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。なお、ニルマトレルビル・リトナビルとエンザルタミドの併用を禁忌とすることの医療現場への影響について、関連学会に意見を聴取し、特段大きな問題はないことを確認した。
▽イメグリミン塩酸塩(ツイミーグ錠、住友ファーマ)
改定概要:
・「効能又は効果に関連する注意」の項から、中等度又は重度の腎機能障害を有する患者に対して投与は推奨されない旨の記載を削除する。
・「用法及び用量に関連する注意」の項を新設し、eGFRが10mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の腎機能障害を有する患者への投与における注意事項、及びeGFRが10mL/min/1.73m2未満の腎機能障害を有する患者には投与は推奨されない旨を記載する。
・「重要な基本的注意」の項に、eGFRが15mL/min/1.73m2未満の腎機能障害を有する患者への投与時の注意を追記する。
・「特定の背景を有する患者に関する注意」の項について、投与が推奨されない腎機能障害患者の範囲をeGFRが45mL/min/1.73m2未満の患者から10mL/min/1.73m2未満の患者へ変更し、eGFRが10mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の腎機能障害を有する患者への投与時の注意を追記する。
・「薬物動態」の項に、eGFRが10mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の腎機能障害を有する患者における薬物動態パラメータの推定値を追記する。
改訂理由:eGFRが45mL/min/1.73m2未満の腎機能障害を有する患者を対象とした製造販売後臨床試験の結果等を踏まえ、改訂することが適切と判断した。
▽デスモプレシン酢酸塩水和物(デスモプレシン静注4µg「フェリング」、フェリング・ファーマ)
改定概要:「重大な副作用」の項に「アナフィラキシー」を追記する。
改訂理由:アナフィラキシー関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤とアナフィラキシーとの因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
アナフィラキシー関連症例の集積状況:国内症例は0例。海外症例では、医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は5例。死亡0例。