これまで６回にわたり、製薬企業の積極採用の動き、ＭＲに求められるスキル、採用選考時に重視されるポイント、配置戦略にリンクしたＭＲ採用の現状、活発化するＭＲ未経験者の中途採用など、ＭＲのキャリアを取り巻く環境をレポートしてきました。

前回はＭＲの求人数が増加傾向にあり、それは領域特化と数的優位性確保を目的とした、製薬企業各社におけるＭＲ配置戦略の強化によるところが大きいとレポートしました。その中でも、数的優位性確保を目的としたＭＲの中途採用については、ＭＲ経験者と同様にＭＲ未経験者の採用が活発化しています。

日々、求職者とお会いし、採用企業・採用予定企業と打ち合わせをする中で、実感として、１年前と比較してＭＲの求人数が増加しているように感じています。今回改めて、１年前からの求人数についてデータを抽出したところ、ＭＲの求人数が顕著に増加していることが確認できました。しかし、なぜ今ＭＲの求人数が増加しているのでしょうか。

連載第4回目となる今回は、製薬業界の企業が採用を行う際、いったいどのような採用手法が用いられているのかについてみていきたいと思います。そもそもどのような採用手法が存在しているのか、ということはなかなか知られておらず、またそれらの中で各社がどのような採用手法を用いる傾向があるのかも掴みづらいでしょう。

前回はＭＲがキャリアチェンジする際に「テクニカルスキル」「ポータブルスキル」「スタンス」の３点を高めていくことが重要であることを解説しました。それをＭＲの仕事にあてはめると、「テクニカルスキル」は「ＭＲとして必要な学術知識や薬効知識、副作用情報」、「ポータブルスキル」は「語学力やプレゼンテーション力」、「スタンス」は「業務への意欲や価値観」であるといえます。

前回は“転職求人倍率と転職活動実態調査から見る「2011年度中途採用トレンド予想」”と題し、2010年の転職市場がMRにとって必ずしも“売り手市場”ではなかったことを振り返り、一方で2011年は一部の製薬企業でMRの大型採用が検討されていることについて解説しました。

2010年12月のメディカル関連業種の転職求人倍率は3.20倍となり、2010年６月に記録した3.45倍からは下降傾向でありながらも他業種と比べると引き続き群を抜いた高い水準が続いています。“求職難”が社会問題化している昨今において、数値上では「超・売り手市場」とも言える状態です。