本誌調査・13年度製品別売上高 主力品は小型化傾向 経費・MRなど営業リソース配分に影響必至
公開日時 2014/07/01 03:52
ミクス編集部は、製薬各社へのアンケートや取材により判明した医療用薬について2013年度国内売上高を集計した。売上高1000億円を超えたのは抗血小板薬プラビックス(サノフィ)だけ。同剤は特許切れが控えており、それ以降は下降は必至。これから1000億円を突破する薬剤も見当たらない。生活習慣病領域の複数の超大型品が市場をけん引する時代は終わりを迎える。代わりに台頭してきているのは痛み、うつ、認知症といったアンメットメディカルニーズの新薬、そして血栓治療に用いる新しい抗凝固薬だ。主力品の売上規模は小型化の傾向が見える。このような市場の変化は、企業経営、営業コスト、MRを含むリソース配分に影響する。
集計によると、売上100億円以上の製品は165製品。会社別で最も多いのがアステラス製薬で、全体の1割以上にあたる17製品を保有する。次いで多いのが、武田薬品13製品、中外製薬12製品、第一三共11製品と続く。
全体では、高血圧や脂質異常症など生活習慣病薬が44製品と約1/4の占める。高血圧治療薬ARBはかつて1000億円製品だったディオバン(ノバルティス)やブロプレス(武田)は下降線に入り、オルメテック(第一三共)も800億円を下回り、伸び悩む。代わって、Ca拮抗薬との配合剤が台頭しているとはいえ、売上高は13年度で最も高いエックスフォージで262億円だ。
大ヒットとなった2型糖尿病薬のDPP-4阻害薬ジャヌビア(MSD)が800億円台に載せ、独り勝ちの状態だが、競合製品の伸びもあり、ほぼピークとみられる。
一方で、成長が著しいのは、がんとCNS。治療上の悩みが深い領域だ。がん領域では100億円以上は22製品に上り、生活習慣病領域に次いで多い。抗体医薬含め標的分子が明確な薬剤へと確実に世代交代が進み、標的分子を持つ患者が対象になる以上、対象患者は限られ、全体的には100~300億円台の製品が多いのが特徴だ。
CNSは、痛みやうつ、認知症の新薬に勢いがある。消炎鎮痛薬セレコックス(アステラス)、適応追加で対象患者を広げてきた疼痛薬リリカ(ファイザー)は共に2桁成長。うつでは、100億円台ながらリフレックス(MeijiSeikaファルマ)、サインバルタ(塩野義)、認知症薬ではメマリー(第一三共)が急成長を見せた。血栓症を抑える抗凝固薬が世代交代している。
今後のトップ製品売上には高くとも500~600億円が主流になることがうかがえる。製品は全体的に従前より小型化し、患者数も限定され、使い方も患者の状態をより見極めて使うことが要求される薬剤が増えている。新たなマーケティング、プロモーション戦略が迫られていることが製品別売上高に見える。
13年度決算に基づく市場分析を特集したMONTHLYミクス7月号の中では、「新薬が売れない! 定石が通用しない! ブロックバスタ―世代に圧し掛かる苦悩」をレポートするとともに、主要6社の製品売上の年次推移から「戦略転換のポイント」も探りました。
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下記からは製品別売上上位20製品を抜粋した図表をダウンロードできます(MONTHLYミクス、ミクスOnline(有料会員)には本誌が集計した100億円以上の製品を売上高を掲載しています)。