米メルク 日本、欧州・アジア太平洋地域の眼科事業を参天製薬に売却 「日本の組織・人員変更なし」
公開日時 2014/05/14 03:51
米メルクは5月13日、日本と欧州、アジア太平洋地域の眼科事業を参天製薬に売却する契約を締結したと発表した。対象製品は全て緑内障・高眼圧症治療薬で、今年後半にかけて製造販売権などの資産を参天製薬に移す予定。日本ではメルク日本法人のMSDと参天の両社で販促している製品にコソプト、チモプトール、同EX(持続性製剤)があるが、参天は「当面は共同販促は続ける」という。メルク日本法人のMSDは「日本の組織・人事に変更ない」としている。
米メルクのホスピタル・スペシャルティ事業統括責任者のジェイ・ガレオタ氏は、「眼科事業売却の決定は、注力分野の明確化により事業効率を高める現行の戦略の一環」と説明。同社は13年に発表した経営モデル変革で、がん、ワクチン、糖尿病、急性期の領域に重点投資をすることを発表しており、米国ではArkon社に眼科事業を売却している。
参天への事業売却もこの取り組みの一環で、売却額は約6億ドル、販売マイルストンによる追加金額が発生する可能性があるという。今回の契約対象地域は、日欧ほか東南アジア各国、インド、韓国、中国などを含むアジア太平洋地域。対象製品は、コソプト、COSOPT PF、トルソプト、TRUSOPT PF、チモプトール、チモプトールXE、TIMOPTIC PF、SAFLUTAN、TAPTIQOMでいずれも緑内障・高眼圧症治療薬。対象地域での年間売上は約4億ドルに上る(日本国内だけの売上は非開示)。参天は、事業の譲受により、2~5年にわたって製品の供給を受け、製品の拡充と海外事業展開の加速を図る。
参天によると、2015年3月期の下期から業績や財務に影響が出てくるが、別途開示する。