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英産業相、ウェルカム・トラストなど反対意見高まる ファイザーのAZ買収提案

公開日時 2014/05/14 03:50

米・ファイザーによる英・アストラゼネカ(AZ)の買収提案に対して、英国では閣僚はじめ議会議員や医学研究支援等を目的とする公益信託団体・ウェルカム・トラストなど科学界からも反対意見が高まっているようだ。欧米のメディアの報道から現状を紹介する。


英BBC放送は、Vince Cable産業相が、「ファイザーの提案は国益にかかわる問題」と述べた。その上で、ファイザーのIan Read CEOが、AZ買収の理由のひとつとして、英国におけるR&D優遇税制など租税問題を挙げたことについて、「我々は英国の将来を租税回避地としてではなく、知識集約産業にあると見ている。英国にとってベストなのは、英国の科学、研究および製造での雇用およびライフサイエンス部門での意思決定を確保することである」と述べた。


この発言の背景には、ファイザーが2012年に英国南部のサンドウィッチにあった研究所を閉鎖した経緯があるとの見方も出ている。ファイザーが今回の買収提案で、雇用は確保するとしているものの、雇用や研究基盤が失われることへの不信感があるものと思われる。同研究所では、ED治療薬Viagra(シルデナフィル)の研究を実施していた。


Cable産業相は、英国の科学研究の基盤を維持し、公共の利益を損なわないようにファイザーの提示している条件を見直すなどあらゆる選択肢を考慮していると話した。


米医薬専門誌「Fierce Pharma」は、労働党のEd Miliband党首が、David Cameron首相がこの買収提案に賛意を示したことについて、「首相はファイザーのチアリーダーになっている」と非難した。その上で、「この買収について精査をすべきだ」と提言し、「我々は、この買収が国益にかなうか否か、適正な独立した評価を行うことを求める」とBBC放送の取材に答えたと報じた。「国益にかなうか」の考えはAZの一部投資家の考えを反映したものという。


ウェルカム・トラストは、George Osborne財務相に宛てた文書で、ファイザーの買収に疑念を示すととともに、AZは英国の科学基盤として不可欠であるとの考えを示した。ロイター通信が報じた。


ウェルカム・トラストのWilliam Castel会長は、「ファイザーによる過去の主要製薬企業の買収(複数)で(全体的に)R&D活動がかなり停滞してしまった。これが今回も繰り返されることを懸念する」と文書で示している。ウェルカム・トラストは、世界最大の製薬企業を誕生させる大型合併の可能性については、最近、常に反対を表明してきた。


英下院では、議員らの求めにより、5月13~14日の2日間、ファイザーのIan Read CEOからヒアリングを行う予定。同CEOが下院議員らの厳しい質問に対し、どう回答するか注目されるところだ。

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