サワイGHD まずは29品目の限定出荷を解除 澤井会長「業界全体の積極的な限定出荷解除のきっかけに」
公開日時 2024/08/19 04:51
サワイグループホールディングスの澤井光郎代表取締役会長兼社長は8月9日の第一四半期決算会見で、29品目の限定出荷を解除することを明らかにした。限定出荷・出荷停止となっていた198品目の4割に当たる約80品目を解除する品目の候補としており、残り50品目も順次追加で解除する予定。澤井会長は今後も、「製造委託先を含めて全社一丸となって、増産体制を構築する」と述べ、医薬品の供給不足早期解消に注力する姿勢を強調した。澤井会長は、「弊社29品目の限定出荷解除を機に、業界全体での積極的な限定出荷解除につながることを期待している」とも述べた。
◎第二九州工場製造の出荷制限品目の生産数量拡大 テルミサルタン、バンコマイシンなど解除
同社の第二九州工場の新固形剤棟は今年7月に稼働を開始しており、12月に出荷を開始する予定。27年には35億錠の生産能力にまで増強することを計画する。澤井会長は、「第二九州工場製造品で現在出荷制限をしている品目を中心に生産数量の拡大を行うことで、積極的な限定出荷解除につなげる」と述べた。
同社が医療従事者向けのサイトで公表した限定出荷を解除品目は、オザグレルNa注射用40mg「SW」、テオフィリン徐放錠50mg「サワイ」、テルミサルタン錠40mg「サワイ」、バンコマイシン塩酸塩点滴静注用0.5g「サワイ」、フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「サワイ」、モンテルカスト錠5mg「サワイ」など。
限定出荷を解除した品目について木村元彦専務執行役員は、「限定出荷後の売上を見て、想定よりも下振れしている品目や、過去に限定出荷を解除した際の動きをシミュレーションして今の売上であれば大丈夫であろう品目から選んだ。また、各工場の生産の状況を見て安定的に生産され、在庫が積みあがっているかを見て判断した」と説明した。同社にとっての不採算品目も含まれており、「今期も不採算品再算定を行っていただけるのではないかという期待もある」と薬価上の下支えにも期待をにじませた。
澤井会長は、「各品目の不足量全体が不明な中での限定出荷の解除となる。市場動向次第で、再度限定出荷となる可能性をはらんでいるが、弊社29品目の限定出荷解除を機に、業界全体での積極的な限定出荷解除につながることを期待している」と述べた。そのうえで、「当社は引き続き、さらなる生産能力の拡充に向けて積極的な設備投資を実行し、“何よりも患者さんのために”の企業理念の下、製造委託先を含めて全社一丸となって、増産体制を構築する」と説明。「医薬品の供給不足を早期に解消すべく、限定出荷の積極的解除を通じて、患者さん、医療従事者、流通関係者の不安、負担の軽減に努める」と強調した。
◎24年度第一四半期 営業利益は順調に進捗も売上は下振れ 限定出荷の解除などで計画達成に自信
2025年3月期(2024年度)第一四半期の売上高は前年同期比2.7%増の443億2800万円。コア営業利益は前年同期比29.4%増の68億8400万円、営業利益は31.6%増の60億9200万円。純利益は、米国子会社の株式譲渡に伴う関係会社株式売却益151億5300万円を計上したことから、340.2%増の154億8600万円となった。
売上高は23年度以降に収載された品目に加え、価格政策により14年度以前の既存品の売上が伸長したものの、24年度の計画を若干下回った。澤井会長は、「昨年12月に業務改善命令を受けて以降、まずはお詫びし、再発防止への取組みを医療機関にしっかり説明していくことが第一だった。出荷制限を解除して営業をかける状況ではなく、まずは信頼回復に全力で取り組んできた。また、薬価改正以降、不採算品目はそれに合わせた価格政策を行うことに力を入れてきたこともあり、売りに対する営業活動の少し低下があったこともトップライン(下振れ)の一つの原因になっていると捉えている」と説明。第二四半期以降の限定出荷の積極的な解除や、新製品、主力品の伸長などで計画を達成することを目指す方針を強調した。