抗肥満薬Belviqの承認は何を意味するか?
公開日時 2012/07/13 04:00
米食品医薬品局(FDA)は6月27日、Arena Pharmaceuticals社の新規セロトニン受容体作動薬Belviq(lorcaserin)を過去10年間では初めてとなる抗肥満薬として承認した。
同剤の承認は、FDAの抗肥満薬のリスク・ベネフィットに対する考えを示すもので、現在、承認申請中のVivus社のQnexaや現在臨床試験中のOrexigen Therapeutics社のContraveの承認に影響を与えると見られている。
Qnexaのユーザーフィーによる審査終了期限が7月17日で、同剤はBelviqよりも有効性プロファイルが良好なので承認が見込まれる。一方、Contraveは、承認前心血管アウトカム試験を実施中で、少なくとも2年後には再申請の予定だ。
同3剤はいずれも当初は、2009年末および2010年当初ごろに審査が行われ、3剤とも、あまり良好とはいえない有効性や安全性が明確でないことから審査完了通知が発行された。
しかし、抗肥満薬をもとめる声の高まりに伴い、FDAは外部専門家と同剤の適正な基準の策定を始めた。最近の諮問委員会の審査では、FDAは、現在開発中の抗肥満薬については、市販後臨床試験によって安全性を担保させるという方向に舵を切っている。それがBelviqの承認につながった。
最近のアボット・ラボラトリーズ社のMeridia(シブトラミン)の市場撤退やfen-phenの市場撤退など抗肥満薬には心血管イベント発症リスクの増加懸念がある。
一方で、FDAが全ての薬剤で承認前に臨床試験を行うよう求めるか、リスクの兆候がない薬剤については承認し、市販後にデータの集積を求めるか、が注目されていた。
FDAは、今年3月に心血管リスクについて、「内分泌・代謝薬諮問委員会」(EMDAC)の特別部会を開催、部会は、全ての抗肥満薬で、安全性を脅かす一定の兆候がなければ、承認前に検出された一定レベルのリスクは除外すべきことを示唆した。
FDAのContraveについての審査完了通知は承認前の心血管リスク試験を求め、Orexigen社はこれに合意していた。しかし、BelviqとQnexaについては、EMDACは、市販後試験で十分との見解を示したため、FDAはこの評価に添って、Belviqを承認している。
(The PinkSheet 7月2日号より)