FDA 医薬品市販後安全対策強化を回顧
公開日時 2012/05/10 04:00
米食品医薬品局(FDA)は、2007年のFDA修正法(FDAAA)が発効以来、医薬安全対策を強化、特に市販後安全対策に力点を置いた施策を推進して来た。FDAはこのほど、FDAAA法発効以来、FDAの医薬品評価研究センター(CDER)が講じてきた市販後安全確保対策の強化策を振り返り、安全確保対策の考え方・新規施策・実施状況などについてまとめた報告書「市販後医薬品のFDA安全プログラムにおける進歩」(Advances in FDA’s Safety Program for Drugs)を発表した。
CDERは、患者を有害事象から保護するためにより早くかつ効果的な医薬安全性情報を提供することにどのように力点を置いたかを説明、その一例として、「早期安全性通知」の発行を上げた。CDERは「早期安全性通知」を2011年には、2010年の39件を大幅に上回る68件発効した。
CDERは、2004年に医薬品安全確保対策を強化、さらに2007年のFDAAAの成立により、FDAは、製薬企業に対して市販後試験実施の要求・ラベル変更の指示など市販後医薬品監視の権限が強化されるようになった。そのため、FDAは2008年以降、安全性確保対策で以下の対策を講じたことを列挙した。
*医薬品製造業者の自主的ラベル変更に加え、65件の安全性に関するラベル変更を求めた。
*医薬品・生物製剤のリスクを上回るベネフィットを確実にするためにREMS(リスク評価・緩和戦略)の策定を求めることが可能となり、現在までに64件のREMSを求めた。REMSのなかには、一定のハイリスクを持つ製品へのアクセスを制限するものもある。
*CDERの監視・疫学部のスタッフを2007年の123名から245名に倍増させた。同部のスタッフは医師、薬剤師、疫学者など医薬安全性の専門家から構成されている。
*CDER新薬部の新薬承認申請を審査する18課内に当該課で担当した薬剤の市販後安全性問題を適切に取り扱う安全性担当者を配置した。
このほか、1億2500万人以上の安全性情報にアクセス可能となったデータベース構築を目的とした「センチネル・イニシアチブ」(Sentinel Initiative)や医薬品副作用を未然に防ぐために連邦政府機関、学会、医師・薬剤師、病院・薬局、患者・介護者らの連携を目指した「安全使用イニシアチブ」(Safe Use Initiative)などの取り組みを紹介した。
FDAのJanet Woodcock医薬品評価研究センター(CDER)長は、FDAのこのような取り組みの結果、「我々の市販後医薬品安全監視は過去数年で大きく変化した」と述べたうえで、「この報告書は、市販後医薬品安全性に係る決定の質・説明責任・適時性を向上させたことや安全性情報を消費者へ効果的に伝達させたことを示している」と説明した。
同報告書はA5判、20ページ。このほか、報告書を要約した「Drug Safety Highlights」8ページおよび臨床試験の安全性やGMPなど品質管理、副作用予測など安全性の科学的側面に焦点を当てた小冊子「Safety Science & Research Report」8ページが添付されている。