アバスチンの乳がん適応撤回へ 2012年からパクリタキセル併用下のP3実施へ
公開日時 2011/11/29 04:00
ジェネンテックの抗がん剤アバスチン(ベバシズマブ)の乳がん適応が撤回されることが、米食品医薬品局(FDA)Margaret Hamburg長官の発言から明らかになった。FDA医薬品評価研究センター(CDER)が同剤についての2本の市販後臨床試験AVADOおよびRIBBON1のデータから判断したもので、2010年12月から始まった11か月に及んだ論争に終止符を打つこととなった。
6月には、同剤の乳がん適応について、異例の2日間にわたる公開ヒアリングを行い、その結果、FDA腫瘍薬諮問委員会(ODAC)は、委員全員の6人が撤回賛成票を投じた。Hamburg長官の決定はこの結果とPublic Docketへの提出意見などに基づいたという。
ジェネンテックは、CDERが行った迅速審査を通過した新薬もしくは適応取得の撤回に直面した初めての申請者となった。法的措置は提起せず、新たに転移乳がん患者を対象にしたパクリタキセル併用下での臨床第3相試験(P3)を2012年から実施することを決めた。
公開ヒアリングでは、専門医や乳がん患者が、一部患者に限り、同剤の使用を認め、ラベルに残すべきとHamburg長官に訴えた。ジェネンテックも、トリプルネガティブおよび悪性のホルモン受容体陽性患者に限定した使用についてラベルでの維持を求めた。
2005年のアストラゼネカの肺がん治療薬イレッサ(ゲフィチニブ)に類似したケースとなる可能性があったが、ベネフィットは示されていないとして、Hamburg長官に拒否された。
しかし、Hamburg長官は、69ページに及ぶ覚書で、今回の乳がん適応の撤回は医師の適応外使用を拘束するものではないとし、同時にメディケイド&メディケイドサービス庁(CMS)や民間保険者における同剤の償還は続行できると示している。
ジェネンテックは12月に実施予定の臨床試験では、有効性のバイオマーカーとしてVEGF-A(血管内皮細胞増殖因子)を用いる予定だ。VEGF-Aの値に応じた層別化をして検討する考え。
しかし、パクリタキセル併用下でのVEGF-Aのバイオマーカーの役割について、Hamburg長官は、トリプルネガティブとの関連性を示したエビデンスが十分に構築されていないことなどから、懐疑的な立場を取っているようだ。
(The Pink Sheet Daily 11月18日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから