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国立大学病院長会議 働き方改革後の自院超過勤務5.2%減 地域派遣医師は「アクティビティを堅持」

公開日時 2024/12/16 04:51
国立大学病院長会議は12月13日の記者会見で、4月医師の働き方改革以降、自院での超過勤務時間が5.2%減少する一方で、地域派遣医師の勤務時間数は前年度と同程度を堅守したと報告した。この結果から「医師の働き方改革が地域医療の崩壊につながっていない」と分析した。ただ、派遣医師の負担増や“直美”などリスク要因もあるとして、今後の推移を注視する姿勢を示した。また、11月時点の国立大学病院収支について、32病院が収支マイナス(計▲281億円)の見込みで、前回8月報告より悪化していた。大鳥精司会長(千葉大学医学部附属病院病院長)は、「高額薬剤使用に伴う医療費増、光熱費、人件費高騰で稼働率を上げて収入を増やしても、このような支出が覆いかぶさってくる」と述べ、診療報酬等の手当の必要性を訴えた。 

この日の会見で国立大学病院長会議は、4月実施の医師の働き方改革と大学病院の地域医師派遣の状況を報告した。地域への医師派遣は国立大学病院全体で4万6363人。1大学病院で3000人超を派遣しているのは、名古屋大学(3526人)、大阪大学(3605)の2校だった。派遣・兼業先の医療機関は7823件で、病院が4331件、診療所が3492件となった。

◎大鳥会長「大学本体の働き方は非常に効率よくセーブされている」

一方、4月~8月の超過勤務および医師派遣時間数の推移をみると、自院での勤務超過時間は5.2%減少しているのに対し、医師派遣時間数は2.7%増加していた。大鳥会長はこの結果について、「大学本体の働き方は非常に効率よくセーブされている。一方で地域派遣医師に関しては、アクティビティを全く落とさずに継続できている」と説明した。その上で、「医師の働き方改革の一番の問題はこれによって地域医療が崩壊すると懸念されたが、結果として地域派遣医師の派遣時間数は前年度と同年度で同じ水準となっている」と評価した。

◎“直美” が増えだすと確実に地域崩壊が始まる

ただ、大鳥会長は「いまは大学に医師が集まっているからで、例えば“直美”(初期研修を終えた後にすぐに美容医療に進む医師)が増えだすと確実に地域崩壊が始まると言っても過言ではない」と危機感を露わにした。

◎11月時点の収支状況 32病院が計281億円の収支マイナスの見込み

11月時点の「国立大学病院収支状況等調査結果を公開した。病院全体でマイナス254億円の収支見込(マイナス235億円)で、32病院が計▲281億円(8月時点で▲260億円)の収支マイナスの見込みとなった。支出増加の要因は、①高額薬剤・材料の使用量増による医療費増加(178億円増)、②エネルギー価格高騰の影響から光熱水費の高止まり(23億円増)、③働き方改革、人事院勧告の影響による人件費増(310億円増)、④物価高騰等による業務委託費の増加や老朽化が進む施設への投資(84億円増)-など。大鳥会長は、「診療報酬改定により117億円の増収見込みに対して、働き方改革や人勧影響額を考慮した人件費は310億円の支出増見込みとなるため、大変厳しい経営状況にある」と強調した。

大鳥会長はまた、地域医療介護総合確保基金に触れ、自治体が予算確保できずに国立大学病院が申請しても事業化されない事案が複数あることを指摘した。同基金は厚労省が全体の3分の2、自治体が3分の1の予算を負担することになっている。国立大学病院長会議の調べによると、「地域医療勤務環境改善体制整備特別事業」で8病院、「勤務環境改善医師派遣等推進事業」で19病院に及ぶ。大島会長は、「各都道府県も危機感を感じて頂きたい」と訴えた。

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