本誌調査・製薬各社の働き方 17社中11社で「副業・兼業」導入 DX時代を見据え社員の自律的成長を促す
公開日時 2022/10/04 04:52
ミクス編集部が主要製薬企業に働き方改革に関するアンケート調査を行ったところ、17社中11社(65%)が「副業・兼業」を導入したと回答した。コロナ禍によって、ビジネスの主戦場がデジタルトランスフォーメーション(DX)に一気に舵を切るなど、製薬産業を取り巻く環境が大きく変革するなか、社員の自律的な成長を促す狙いがある。調査では、社員間のコミュニケーションを醸成するワークスペースを設置する企業や、社員自己投資支援を通じて新たな学びに期待する動きもみられ、多くの企業が時代にマッチした新たな働き方を模索する様子が浮かびあがってきた。
◎MRの「副業」 中小企業診断士、薬剤師資格を生かした仕事、医療業界のコンサルなど
調査は、主要製薬企業19社を対象に、8月24日から9月7日にかけて行った(有効回答17社)。働き方改革に関して導入した施策を選択式で答える質問では、「副業・兼業」を選択した企業が最多(11社・65%)となった。回答企業からは、「社外での成長機会を提供することによるスキル向上やオープンイノベーションの推進」を期待する声、それに「社員の自律的な成長・進化、多様な人材が働く職場環境の醸成を後押しする」との狙いを掲げるコメントが多数寄せられた。MRの副業では、中小企業診断士や薬剤師などの資格を生かした仕事のほか、医療業界のコンサルなどに従事している人が目立つ。個人にとっても、副収入が得られることはもちろん、転職というリスクをとらずに新しい領域に挑戦できるというメリットがあるといえそうだ。
◎社内公募・自己投資支援制度 自身のキャリアビジョンを後押しする製薬企業も
社内公募制度(9社、53%)、自己投資支援制度(8社、47%)を導入しているという企業も目立った。社内公募制度を導入した内資系企業は、「社員が自身のキャリアビジョンを実現する方法の1つ。組織が求める人材と社員が目指すキャリアのマッチングは組織と社員に双方とってWin –Winな関係構築につながる」とコメントした。
この2つの選択肢については、両方を導入した企業は7社に上った。企業からは、「組織の活性化や事業の発展」を目指しているというコメントが目立った。ある内資系企業は、「企業の活性化のためには、社員の挑戦を後押しする人事上の取り組みが必要であると考えた。単一の業務だけでなく、様々な業務を多角的に経験することが社員のキャリアアップにつながる」との回答を寄せた。さらに、「グローバルに活躍できる人材の育成と登用のため」と回答した企業も目立った。
導入企業数は少ないものの、社内留学制度(4社、24%)、遠隔地勤務制度(2社、12%)、週休3日(2社、12%)を選択した企業もあった。社内留学制度を選択した外資系企業は、「人生100年時代においては、自己研鑽や趣味などのプライベートな面においても充実した時間を持つことを可能にする職場環境が非常に重要だ」と指摘。そのうえで「キャリアは自分の手で切り開くものであるため、自分からチャレンジできる環境を整えた」と回答した。
「その他」の項目では、▽フレックス勤務や▽裁量時間制度の導入、▽取得事由・場所・日数を問わないテレワーク制度、▽転勤なしで希望する勤務地で働ける関連子会社の設立 ―― などが上がった。