日医・猪口副会長 物価高騰で医療機関・介護事業所等への「新型コロナ地方臨時交付金」による支援を要望
公開日時 2022/07/28 04:51
日本医師会の猪口雄二副会長は7月27日の定例会見で、物価高騰が続くなかで、医療機関・介護事業所等への「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」による支援の拡充を要望したことを説明した。猪口副会長は、「水道、光熱費、食材料費等の物価等により、医療機関、介護施設事業者等の経営は極めて深刻な状況にある」と強調。厚労省医政局は事務連絡を発出し、医療機関などが同交付金を活用できることを各都道府県に周知しているが、「使途がすでに決まっているのでお出しできない、という回答もいくつかの都道府県で寄せられている」という。こうしたなかで、自民党厚労関係議員に対し、国が全体として交付金を積み増しし、確実に交付されるようにお願いした」と説明した。後藤茂之厚労相にも近く、直接要望する方針。
◎日医など関係10団体 後藤厚労相などに要望書提出 自民党厚労部会でも議論に
日本医師会ら、医療・介護関係10団体は7月21日付で、「医療機関・介護事業所等における物価高騰への支援の拡充に関する要望」を後藤厚労相、加藤勝信社会保障制度調査会長、牧原秀樹厚生労働部会長、尾辻秀久参院議員、田村憲久衆院議員宛てに提出。7月26日に開かれた自民党厚生労働部会でも、議題に上がった。
◎「物価高騰が医療機関・介護事業所等に大きな影響を及ぼしている」
要望書では、水道光熱費、食材費などの物価高騰が、医療機関・介護事業所等に大きな影響を及ぼしていると説明。「日常の業務に加えて、新型コロナ感染者の対応に追われており、厳しい環境下での経営を強いられているところだ。そのような中、ロシアのウクライナ侵攻等により、物価高騰が顕著になっており、経営に甚大な影響を及ぼしている」とした。そのうえで、医療機関・介護事業所等が国の定める公定価格で経営されることから、「多くの患者・利用者等の経済状況を考慮すると、物価高騰の影響を価格に転嫁することはできず、もはや、経営努力のみでは対応することが困難な状況だ」として、物価高騰への支援を求めた。具体的には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による支援の確実な実施と、交付金を積み増しし、支援にかかる財源の確保を求めた。
◎東京病院協会調べ 電気代136.8%、ガス代152.8%に増加
なお、東京都病院協会の調査によると、104病院の有効回答件数で4月の対前年比で電気代が136.8%、ガス代が152.8%に増加。東京都の全病床に換算すると、ガス代、電気代の年間負担増加額の合算が約176億7100万円と試算されているという。また、四病院団体協議会(四病協)の調査によると、回答のあった57病院では5月の電気使用量は対前年比で下がっているものの、料金は131%に増加しているという。
◎猪口副会長「まず、一時的な交付金でお願いできれば」
医療機関、介護事業所等の原資となる診療報酬・介護報酬は賃金、物価動向を踏まえて決定される。猪口副会長は今回の物価高騰について、「一時的なものであり、恒久的なものでない可能性もある。交付金でとりあえずはお願いできれば」と説明。診療報酬上の補填などについては、「診療報酬でということになると、多くの議論と時間が必要になる。まず、一時的な交付金でお願いできればと考えている」と述べた。