IQVIAジャパン グループ リモートディテーリングソリューション
IQVIAジャパンはこの5月、CSO事業部門のフィールド社員1,500人超に対し、医療者とのディテーリングに特化した「IQVIA Remote Detailing」プラットフォームを一斉導入した。セキュリティやコンプライアンスに対応しながら、使い勝手も良いのが特長だ。このプラットフォームを標準的に活用できる“デジタル人材”が、顧客企業でリモートディテーリングの浸透・定着を推進する。グループの総合力で、“リモートツール”と“その活用ノウハウを持つ人材”を一体化した「ハイブリッド型リモートディテーリングソリューション」を本格展開。その先にある、DXを基盤とした新しいコマーシャルモデルを見据え、“テクノロジー×人”の掛け合わせでMR活動のあり方を変えていく構えだ。
*DX=デジタルトランスフォーメーション
リモート化で医師とMRにギャップ
ツール使いこなす人材の育成が必須
IQVIA Remote Detailingは、同社で2000年から、
欧米など世界46カ国で運用実績を持つ業界特化型のリモートツール。「一般のWeb会議ツールとの違いは、まずアプリのインストールやメールアドレス登録が一切不要なこと。医師は URLにアクセスし、MRが発行するコード番号を入力するだけで、デバイスやブラウザを選ばずすぐに面談を開始できる」と、テクノロジーソリューションズ事業部長 石川大地氏は説明する。
新型コロナの影響でMR活動でもリモート化が拡がっているが、セットアップの手間などから医師に敬遠されるケースも少なくない。同ツールでは、この最初のハードルがない。さらに、どの医師にどのコンテンツをどの位の時間使用したかのログ記録や、承認済みコンテンツに限定した利用制限機能を備え、販売情報提供活動ガイドライン等のコンプライアンスに対応。セキュリティ機能も高く、クラウド上でのやり取りのため、個人PCにある他の資料が映リ込むリスクもない。こうした使い勝手の良さと安全性が業界特化型ならではの特長だ。
また、同社はAI搭載の次世代CRMソリューション「OCE」(Orchestrated Customer Engagement)を有するが、これに限らず他社のCRMシステムやCLMツールとも連携できるスタンドアローン型であることから、各社のインフラ環境に応じた支援が可能な点も、顧客に支持されている。
とはいえ、どんなに良いテクノロジーも、医療現場で適切かつ有効に活用されるとは限らない。「コロナ禍で製薬各社が一斉にリモートをプッシュしたことで、医師側の受容度とのギャップが浮き彫りになっています。理由の1つは、対面でのコミュニケーションが根付いている日本特有の文化にある。“医療現場にマッチしたツール”の普及と併せて、それを“上手く使いこなせる人材”の両方が揃わないと旧来の行動様式は変えられません」とCSO事業を担う松本大輔氏(CSMS事業本部長)は指摘する。
今回、1,500人超のコントラクトMRら全員にIQVIA Remote Detailingを標準装備したのは、リモート化の推進には何よりも“人の力”が必要と捉えるためだ。
「7つのキーフレーズ」の実践で
リモート化が1割から8割超に急増
リモートディテーリングの円滑な実践には、医師の受け入れをはじめとする様々な“壁”があると松本氏。同社のハイブリッド型アプローチの価値は、この壁を乗り越えるためのノウハウと、医師と営業現場の行動変容をもたらすメソッドを有する人材にある(
図)。
IQVIAは昨秋来、ある顧客でのリモート推進施策の導入を支援。当時はコロナ前でリモートの機運が高まっていなかった背景もあり、初動1カ月でリモート面談に漕ぎつけたのはパイロットチームのIQVIA MR30人中4人(13%)のみ。彼らのベストプラクティスを他の26人に展開しても、効果は得られなかった。ところが失敗例からの学びをノウハウとして体系化した「7つのキーフレーズ」により、多くのMRが壁を乗り越えはじめ、3カ月目にはリモート面談に至ったMRが7割に。次にこれを展開した約120人の顧客MRでは、1カ月目から8割超の実施率を果たし、より早く高い再現性が実証された。
その1つが、MRがリモートの使用を「お願い」したり「許可」を取ろうとすると、断られる可能性が高いというもの。理由は単純明快でMR都合だからだ。一方、医師から何らかの情報を求められ、しかも急を要する場合などニーズやタイミングに合わせてリモートを提案することで、受容度は格段に高まるという。医師にベネフィットをもたらす手段として活かすというスタンスがポイントだ。
しかし第1の壁を乗り越えても、新しいものへの抵抗感や失敗体験からくる組織内での“リモート否定派”という第2の壁が待っている。成果を検証したケース分析では、特にマネジメント層のマインドセットが部下のMRに大きく影響していたという。「やはり上司の“本気度”は重要です。しかし初めての取り組みには必ずしも正解があるとは限りません。そこで私共がトライ&エラーの実例を横からお示しし、両輪でアクセルをかけることで、変化を増幅させていくのです」と松本氏は語る。
新たな行動様式を定着させるには
チェンジエージェント人材の介在が不可欠
現場での活用ノウハウや、組織を動かすメソッドに対するニーズは高く、リモート面談のほか説明会、同行などのケーススタディを盛り込んだ実践トレーニングや動画コンテンツ提供も開始した。国内CSO最大規模の1,500人超のコントラクトMRらが、実際のリモート取り組み支援を通じて蓄積した“現場の知見”から、次のナレッジを生み出しサービスを拡充している。
しかし、基軸はあくまでもハイブリッド型ソリューションによるトータル支援だ。「遠いゴールを描くだけでなく、お客様毎の状況に即して、一緒に汗をかきながらそれぞれの変革をご支援していきたい」と松本氏。テクノロジー部門とCSO部門の連携によって、ツールの機能やノウハウは日々アップデートされている。それらを顧客へ還元し、更なる成長サイクルを後押しできるのも、同社の総合力ならではだ。
今後、コロナ禍で図らずも進んだリモート化を皮切りにDXの加速は不可避である。IQVIAではこれを一里塚に、更に“その先”にある新しいコマーシャルモデルを見据えた取り組みを進めている。
石川氏は「リモートディテーリングもタッチポイントの1つですが、多様化するデジタルチャネルを駆使してどのように個々の医師の属性情報等にアクセスしていくかが非常に重要。当社の膨大な市場データを掛け合わせることで、新たな医療サービスやメディカルデバイスの開発も可能になってくる」と展望。エリア毎の処方動向や、医師のニーズなど全てをデータとして捉えられるようになれば、MR、営業・マーケティングのあり方は変わらざるを得ないと予測する。
しかし本格的なDX時代に向けてどんなに優れた戦略やテクノロジーを備えても、それらを現場で推進する“人の力”が不可欠である点は、今後も変わらないという。「組織の変革には、既存のやり方や様々なしがらみに捉われないチェンジエージェント役となる人材の介在が必須です。社会的に働き手不足が課題となる中、単に100の仕事を人とデジタルで分け合うのでなく、両者を切り離さずにお互いの強みを最大化することで120、140の付加価値を創造する発想が大切」と松本氏は力を込める。IQVIAグループの総合力をもって、これからのMR活動、製薬コマーシャルモデルの“新しいカタチ”を加速していく。
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*ハイブリッド型 リモートディテーリング ソリューションに関するプレスリリース