第一三共・UFJキャピタル・名古屋工大 視覚再生遺伝子治療薬実用化目指し共同研究
公開日時 2020/04/14 04:51
第一三共、三菱UFJキャピタル、名古屋工業大学は4月13日、視覚再生のための遺伝子治療薬に関するオープンイノベーション研究を開始したと発表した。高活性の新規光応答性タンパク質(GtCCR4)について、3者が連携して、網膜色素変性症により視力を失った患者に対する革新的な遺伝子治療薬の実用化を目指す。
共同研究は、名古屋工業大学が見出し、第一三共の創薬共同研究公募プログラム・TaNeDS (タネデス)のなかで、視覚再生への応用可能性がわかったGtCCR4について行う。GtCCR4は、光を受けると機能を発揮する光応答性タンパク質のなかでも、ロドプシンと呼ばれるタンパク質ファミリーに属しており、細胞において光を受けると、シグナルを伝達するイオンチャネルとして機能している。イオンチャネル機能を持つタンパク質は、視神経細胞や中枢神経における情報伝達、筋収縮などに重要な役割を果たすとされる。
共同研究は、名古屋工業大学が主体となって高活性化に向けた研究を進め、第一三共が応用可能性の検証など支援を行う。研究費については、三菱UFJキャピタルが運営するOiDEファンド投資事業有限責任組合から必要な資金が、新会社として設立されたOiDE OptoEye(本社:東京都中央区)に対して全額出資される。
なお3年間の共同研究で目標達成した場合、第一三共は、 OptoEye の株式を全て買い取り、第一三共が自らのプロジェクトとして研究開発を進め、名古屋工業大学に対しては、販売後のロイヤリティを対価として支払うことにしている。
網膜色素変性症は、網膜の視細胞に異常をきたす遺伝性かつ進行性の疾患で、国の指定難病の1つ。病気の原因遺伝子は複数種が明らかになっているものの、現状の治療法は、遮光眼鏡やビタミン A 内服等の対症療法のみで、根本的治療方法はなく、新たな治療法が望まれていた。