米FDA カルチノイド症候群下痢治療薬Xermeloを承認 初の経口剤
公開日時 2017/03/07 03:50
米食品医薬品局(FDA)は2月28日、成人におけるカルチノイド症候群に伴う下痢の治療薬Xermelo(telotristat ethyl)錠剤を承認した。適応は、カルチノイド症候群に対して標準治療のソマトスタチン・アナログ単剤では効果不十分な場合の併用で、初の経口剤となる。
内分泌腫瘍細胞内の過剰なセロトニン産生に介在するトリプトファン水酸化酵素をターゲットとして、カルチノイド症候群の下痢を抑える。同剤は、FDAから迅速承認、優先審査および希少疾病薬の指定を受けていた。
主な副作用は、悪心、頭痛、ガンマグルタミントランスファーゼ値上昇、うつ病、鼓腸、食欲不振、発熱など。便秘を起こす可能性があり、特に便通が1日4回未満の患者の場合、便秘を悪化させる恐れがある。
同剤は、米バイオベンチャーLexicon Pharmaceuticals社(本社:テキサス州ウッドランド)が販売する。
Lexicon社のLonnel Coats社長兼CEOは、「我々は、この画期的な希少疾病薬を発見し、開発したことを誇りに思っている。また、重症の下痢に悩む患者に通常の生活ができるようにこの薬剤を届けることができることを光栄に思っている」と話した。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のJulie Beitz医薬品評価第3部長は、「本日の承認は、カルチノイド症候群に伴う下痢を十分に管理できない患者に新たな治療選択肢を提供する」と同剤の登場を歓迎した。
カルチノイド症候群は、カルチノイド(神経内分泌)腫瘍の患者にしばしばみられる、皮膚の紅潮、喘鳴、下痢など一連の症候を指す。カルチノイド腫瘍患者の10%未満でみられ、通常は、腫瘍が肝臓に転移した後に発現する。カルチノイド腫瘍は、消化管内に発生する症例が多いが、この症候群でもセロトニンを過剰に放出し、下痢を引き起こす。管理が難しい症例では体重減少、低栄養状態、脱水、電解質不均衡などが起きる。