【World Topics】新たなバイオブーム
公開日時 2013/11/05 03:50
米国では、1990年代末のゲノム・ブーム以来の、久々のバイオブーム到来か?との期待が高まっている。
市場の注目を集めているのは、プロザックやバイアグラのようなブロックバスター:市場を席巻する大型医薬品ではなく、”Orphan Drug Status(稀少疾病治療薬)” の認定を受けた医薬品。たとえば、ラプター製薬のプロシスビ(PROCYSBI®)である。
http://www.raptorpharma.com/procysbi.html
また、まだFDAの認可はおりていないが “Breakthrough Therapy(画期的新薬)” 認定の第一号となるものと期待されているファーマサイクリックス社のイプルティニプ(Ibrutinib)もある。
http://www.pharmacyclics.com/clinical_trial_btk_pcyc_pci32765.html
バイオベンチャーを勢いづけているのは、FDAの政策的バックアップである。
ひとつは”Orphan Drug Status(稀少疾病治療薬)” だ。言わずもがな、患者の絶対数が少ない稀少難病の治療薬としての認定だ。この認定を受けた医薬品は、7年間の独占販売権を得ることができ、市場での競争ゼロの状況で自由な価格設定ができる。上述のプロシスビには患者1人あたり年間25万ドルという価格がつけられている。
もうひとつの施策が “Breakthrough Therapy(画期的新薬)”だ。これは従来の、すでに市場に出回っている治療法/医薬品に比して、圧倒的に効果の高い治療法となると見込まれた医薬品に認められるステータスで、承認までのプロセスを大幅に圧縮し、短縮するという特別措置である。この認定により、企業は時間コストを圧縮でき、競合他者に対する圧倒的な競争優位を確保できる。
これらの施策により、たとえ小さなニッチでも、薬効が圧倒的であれば利益を上げることができるという環境が整った。したがい、今回のバイオブームは、ムードが先行した90年代のバイオブームよりも実質的な成果を上げるものとみられている。