ニプロの脊髄損傷治療用幹細胞ステミラック注が承認
公開日時 2019/01/07 03:50
ニプロは12月28日、脊髄損傷の治療に用いる自己骨髄間葉系幹細胞ステミラック注について条件及び期限付承認を取得したと発表した。患者の骨髄液から採取した間葉系幹細胞を培養、体内に静注し、脊髄損傷に伴う神経症候や機能障害の改善を図るもので、脊髄損傷に対する初の再生医療等製品。治験での評価症例数が少ないことから、承認期限となる7年のうちに対照群を設けて比較評価を行い、これでさらなる有効性、安全性が確認されれば承認は継続となる。
これはニプロが札幌医科大学と共同開発したもの。用いる間葉系幹細胞は、神経や血管に分化する能力を持つ。患者の骨髄液から採取した間葉幹細胞を培養、体内に静注により戻すことで神経が再生し、脊髄損傷に伴う神経症候や機能障害の改善が期待される。ニプロが2018年6月に承認申請した。11月21日に薬食審の再生医療等製品・生物由来技術部会が承認を了承、同省は12月28日に承認した。先駆け審査指定制度の対象で、同制度対象の再生医療等製品としては第1号の承認となった。効能・効果は「脊髄損傷に伴う神経症候及び機能障害の改善。ただし、外傷性脊髄損傷で、ASIA 機能障害尺度が A、BまたはCの患者に限る」。
この製品は、▽患者自身から採取した骨髄液中の間葉系幹細胞を体外で培養・増殖させ、患者の血清を含む凍結保存液に懸濁し、凍結保存した細胞▽患者末梢血採取及び製造所への運搬時に用いる採血キット及び▽骨髄液採取及び製造所への運搬時に用いる骨髄採取キット――から構成される。
使い方としては、骨髄液の採取を「脊髄損傷受傷後31日以内を目安に実施する」とし、「製品が製造され次第、可能な限り速やかに投与する」と定めた。国内治験では損傷から1~2か月内に投与し、220日後の効果を評価したところ、13例中12例がASIA機能障害尺度で1段階以上改善。改善割合は尺度B(2例)とC(5例)の患者は100%、Aの患者は6例中5例が改善し83.3%だった。