安心してワクチン接種を EMA総長
公開日時 2018/05/07 03:50
欧州医薬品庁(EMA)のGuido Rasi理事長は、2018年欧州予防接種週間(4月23日‐29日)を迎え、疾患予防のために自分ばかりでなく周囲の人々のためにもワクチン接種を訴える声明を発表した。
Rasi事務総長は、毎年欧州でワクチン接種により270万人が麻疹から、100万人が百日咳から、200万人の乳幼児が破傷風から罹患せずに済んでいるにも関わらず、多数の成人が、あるいは自分の子どもへのワクチン接種を躊躇していることを懸念した。
2017年の欧州疾患予防管理センター(ECDC)のデータによると、EUで麻疹に罹患した患者は2016年の3倍となり、そのうち86%はワクチン接種していなかった。2017年初頭から、麻疹がワクチンで予防できるにもかかわらず、死亡者は50人にのぼる。
総長は、親によってはあえて子供にワクチンを接種しない選択をする人もいるが、個人だけでなく、公衆衛生にも悪影響だと指摘。特に、新生児や免疫障害の人、抗がん剤治療を受療中の患者など免疫力の弱い人にとっては好ましくないと説明。これらの人々は自らはワクチンを接種できないが、周囲の人々がワクチン接種することで感染症から保護されるとして、ワクチン接種をしないことを選択する人は自分自身、自分の子ども、さらに周囲の人を感染リスクにさらすと警告した。
その上で、ワクチン承認についてEMAが厳格なルールを適用しており、EUでは安全かつ有効なワクチンのみが使用されることを保証しているとの立場を改めて示し、安心してワクチン接種するよう呼びかけた。なお、国内では、小児のワクチン接種促進と啓蒙を図る「子ども予防接種週間」(厚労省、日本医師会など主催)があるが、成人を対象とした同様の週間は設けられていない。