厚労省の薬食審医薬品第二部会は2月2日、先駆け審査指定品目で塩野義製薬が承認申請したインフルエンザ治療薬ゾフルーザ錠の承認の可否について審議し、承認することを了承した。経口剤で単回投与により効果が期待できる薬剤で、ウイルス増殖の初期段階に作用し、ウイルス増殖を抑える新たな機序を持つ。同省担当官は新規作用のインフルエンザ治療薬であることから審査を早めたとしている。そのため通常なら3月に予定される承認が前倒しになる可能性もある。承認されれば、先駆け指定品目では初めて医薬品となる。
【審議品目】(カッコ内は一般名と申請企業名)
▽ゾフルーザ錠10mg、同20mg(バロキサビル マルボキシル、塩野義製薬):「A型またはB型インフルエンザウイルス感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外では未承認。
同剤は一定要件を満たす革新的新薬として厚労省から2015年10月に、先駆け審査指定制度の対象品目に指定。17年10月25日に承認申請された。成人、小児を問わず経口による1回のみの服用で治療が完結するのが特徴。新規作用機序のため、耐性ウイルスが出現しても効果を発揮することも期待される。
塩野義は、経口の単回投与であることから、利便性が高く、確実なアドヒアランスが期待できる薬剤だとしている。治験では投与翌日には50%以上の患者(小児を含む)でウイルス力価の陰性化が認
められとし、そのため「家庭内や学校、職場等でのウイルス伝播、飛沫感染拡大に対しても一定の抑制効果を示すことが期待される」としている。
承認時期について同省担当官は、インフルエンザ治療薬で先駆け指定であることなども踏まえ検討するとしているが、同日現在「検討の状況を含めてお話できない」としている。
▽オレンシア点滴静注用250mg(アバタセプト(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズ スクイブ):「既存治療で効果不十分な多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間4年。海外では欧米で承認済。
日本小児リウマチ学会から、適応追加の要請を受けて厚労省の「医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議」の検討を経て、同省がBMSに開発要請をしていた。
ハーセプチンのバイオ後続品が承認へ
【報告品目】(カッコ内は一般名と申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器の審査段階で承認しても差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽ミティキュアダニ舌下錠3300JAU、同10000JAU(鳥居薬品):「ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法」の効能・効果に、12歳未満の用法・用量を追加する小児の用法・用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余(2023年9月27日まで)。
▽アシテアダニ舌下錠100単位(IR)、同300単位(IR) (塩野義製薬):「ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法」の効能・効果に、12歳未満の用法・用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余(2023年3月25日まで)。
▽トラスツズマブBS点滴静注用60mg「NK」、同150mg「NK」(トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]、日本化薬)
▽トラスツズマブBS点滴静注用60mg「CTH」、同150mg「CTH」(トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]、セルトリオン)
:「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とするバイオ後続品。再審査期間なし。海外ではモルドバ、アゼルバイジャン、韓国で承認済(17年10月現在)。
承認されれば、ハーセプチンの国内で最初のバイオ後続品となる。先行品のハーセプチンは乳がんと胃がんに適応があるが、用途特許が残存するとの申請者の説明により、申請から乳がんは除かれたとしている。
▽ハーボニー配合錠(レジパスビル アセトン付加物/ソホスブビル、ギリアド・サイエンシズ):「セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果に追加する新効能医薬品。再審査期間は残余(2023年7月2日まで)。海外では、ジェノタイプ2に対し承認しているのはカナダ、ニュージーランド(17年10月時点)。
▽ザイティガ錠250mg(アビラテロン酢酸エステル、ヤンセンファーマ):「内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺がん」を効能・効果に追加する新効能医薬品。優先審査。再審査期間は残余(2022年7月3日まで)。海外では28の国、地域で承認済(17年11月現在)。
▽FDGスキャン注(フルデオキシグルコース(18F)、日本メジフィジックス):「大型血管炎の診断における炎症部位の可視化」を効能・効果に追加する新効能医薬品。再審査期間なし。
同剤は、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で適応症の追加について公知申請が妥当と判断され、17年9月の医薬品第二部会で公知申請することが了承されていた。