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厚労省 新薬13製品を承認 AZの初のPARP阻害薬、中外の抗PD-L1抗体など

公開日時 2018/01/22 03:52

厚労省は1月19日、新薬として13製品20品目を承認した。 この中には、再発卵巣がんの治療薬としてアストラゼネカ(AZ)が承認申請した国内初のPARP阻害薬リムパーザ錠(一般名:オラパリブ)、進行・再発の非小細胞肺がんの治療薬として中外製薬が承認申請した抗PD-L1抗体テセントリク点滴静注などがある。4月にも薬価収載の見込み。

リムパーザ錠100mg、同錠150mg(オラパリブ、アストラゼネカ):「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:429

ファーストインクラスのポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬。DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導するとされる。

アストラゼネカは、治療選択肢が極めて限られている再発卵巣がん患者の緊急の要望に応え、厚労省の「保険外併用療養費制度」のもとで、薬価収載前日まで無償提供を実施する。治験実施施設等の限定された施設で、準備が整った時点から開始するとしている。

テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:429

がん免疫療法に用いる抗PD-L1モノクローナル抗体。抗PD-L1抗体としてはメルクセローノが製造販売元のバベンチオ点滴静注200mg(一般名:アベルマブ(遺伝子組換え))に次ぐ2剤目となる。バベンチオは皮膚がんの一種のメルケル細胞がんを適応症としており、テセントリクは非小細胞肺がんの適応を持つ初の抗PD-L1抗体となった。

中外によると、同剤については小細胞肺がん、尿路上皮がん、乳がん、腎細胞がん、卵巣がん、前立腺がんを対象にフェーズ3を実施している。

アレサガテープ4mg、同8mg(エメダスチンフマル酸塩、久光製薬):「アレルギー性鼻炎」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類:449

ヒスタミンH1受容体拮抗薬。有効成分のエメダスチンは既に他社から1日2回の経口薬として発売されているが、アレサガは1日1回貼付のテープ剤。久光独自の経皮薬物送達システム技術を用いることで、血中薬物濃度を維持し効果を持続させる。

ネキシウムカプセル10mg、同カプセル20mg、同懸濁用顆粒分包10mg、同懸濁用顆粒分包20mg(エソメプラゾールマグネシウム水和物、アストラゼネカ):「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群」の効能・効果に小児用量を追加する新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は4年。薬効分類:232

日本では初めて小児適応を持つPPI製剤になる。カプセル剤は小児用量を追加する新用量医薬品。顆粒剤は小児用量の追加に伴い、小児にも飲みやすい剤形として開発された新用量医薬品及び剤形追加に係る医薬品。小児に用いる際の対象疾患は成人とは異なる。なお、顆粒剤は成人も使え、その際の適応症は成人の全適応となる。

小児の患者数は成人と比べて少ないが、重度の場合には、体重増加不良、反復性肺炎、喘息などを起こす可能性があるとされる。しかし、治療に用いる同剤などのPPI製剤には小児適応を持つ薬剤がなかった。日本小児栄養消化器肝臓学会からは小児適応の開発が要望されていた。

レキサルティ錠1mg、同錠2mg(ブレクスピプラゾール、大塚製薬):「統合失調症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:1179

ドパミンD2受容体やセロトニン5HT1A受容体にパーシャルアゴニストとして作用する一方、セロトニン5HT2A受容体にはアゴニストとして作用するSDAMと呼ばれる新規機序の非定型抗精神病薬。大塚が販売するエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)の構造変換の過程で発見された化合物。

1日1回1mgから治療を開始した後、4日以上の間隔をあけて増量し、1日1回2mgを投与する。

ネイリンカプセル100mg(ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物、佐藤製薬):「爪白癬」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:629

ホスラブコナゾールは新規の経口抗真菌剤。主活性成分のラブコナゾールの溶解性や生体内利用率を向上させたプロドラッグで、ヒトに投与すると速やかにラブコナゾールに変換される。ラブコナゾールは、真菌細胞の膜成分であるエルゴステロール生合成を阻害することにより、抗真菌作用を示す。

ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物はエーザイが創製。佐藤製薬が国内フェーズ3を実施した。佐藤とエーザイは、コ・プロする。経口投与の類薬にはイトリゾールカプセル(一般名:イトラコナゾール)やラミシール錠(テルビナフィン塩酸塩)がある。

グーフィス錠5mg(エロビキシバット水和物、EAファーマ):「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:235

胆汁酸の再吸収にかかわるトランスポーターを阻害し、自然な排便を促す新規機序の治療薬。1日1回。持田製薬と共同開発し、薬価収載後は共同で販売する契約を締結している。

デュピクセント皮下注300mgシリンジ(デュピルマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:449

アトピー性皮膚炎に対する初の抗体医薬品。有効成分のデュピルマブは、IL-4とIL-13という2つのタンパク質のシグナル伝達を特異的に阻害するよう設計されたヒトIgG4モノクローナル抗体。IL-4とIL-13は、アトピー性皮膚炎における持続する炎症を促進する上で中心的な役割を果たすと考えられている。

アトピー性皮膚炎の治療では、皮膚バリア機能の改善や保持のための保湿外用薬を継続的に使用し、皮膚の炎症に対してはステロイド外用薬、タクロリムス外用薬などの抗炎症外用薬の使用が推奨されている。これらの治療で効果不十分な場合に免疫抑制剤の経口シクロスポリンの間欠投与が行われる。

デュピクセントは、ステロイド外用薬などの抗炎症外用薬で効果不十分なアトピー性皮膚炎に対して、新たな治療選択肢を提供することになる。用法・用量は通常、成人には、投与初日に600mgを1回皮下投与し、その後は300mgを2週に1回投与する。

ファセンラ皮下注30mgシリンジ(ベンラリズマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:229

ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤。増加により喘息症状の悪化に影響する好酸球の表面に発現するインターロイキン-5(IL-5)受容体に作用すると共に、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を高めることで、IL-5受容体を発現している好酸球を除去し症状を抑えるとされる。

同剤は、固定用量があらかじめ充填されたプレフィルドシリンジで、初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射する。

イブリーフ静注20mg(イブプロフェンL-リシン、千寿製薬):「未熟児動脈管開存症で保存療法(水分制限、利尿剤投与等)が無効の場合」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:219

未熟児動脈管開存症は、胎児の時に胎内でも酸素を取り込みやすくするため、大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管が開存しているが、早産などで生後も閉鎖することなく開存し続ける疾患。それにより発育不全や呼吸困難、頻拍などの症状を呈し、全身の臓器に影響が出て、長期予後も悪化させる可能性があるという。それに対しイブプロフェンが持つ作用で動脈管の収縮を促すことが期待されるとしている。患者数は年間平均約4447例という。

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討を経て、開発要請されていた。

ナルベイン注2mg、同注20mg(ヒドロモルフォン塩酸塩、第一三共プロファーマ):「中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は残余(2025年3月29日まで)。薬効分類:811

μオピオイド受容体作動薬。ヒドロモルフォン塩酸塩製剤は、あへん系麻薬性鎮痛剤であり、WHOのがん疼痛治療ガイドラインなどで、疼痛管理の標準薬に位置付けられている。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、経口剤、注射剤ともに開発の必要性が高いと判断されたもの。第一三共はムンディファーマから開発を引き継いでいた。経口剤ナルラピド錠(即放性製剤)と、ナルサス錠(1日1回投与型徐放性製剤)が17年3月に承認、6月から販売されている。

サチュロ錠100mg(ベダキリンフマル酸塩、ヤンセンファーマ):「多剤耐性肺結核」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。薬効分類:622

ジアリルキノリン系の新規抗結核薬で、既存薬とは異なる作用機序をもつ。結核菌のエネルギー生成に必須のアデノシン5-三リン酸合成酵素を特異的に阻害し、増殖期及び休眠期の結核菌のいずれに対しても抗菌活性を示すとされる。

ベスポンサ点滴静注用1mg(イノツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)、ファイザー):「再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。薬効分類:423

抗体薬物複合体(ADC)。B細胞性急性リンパ性白血病のがん細胞の表面に発現するCD22抗原を標的とする薬剤で、同抗原に結合し、細胞傷害性を有するオゾガマイシンが細胞を破壊するとされる。単剤で週に1回、1時間以上かけて投与する。外来投与も可能だとしている。

急性リンパ性白血病の患者数は5000例と報告されており、再発・難治性の患者数はさらに限定される。

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