2016年米医療費 前年比4.3%増の3.3兆ドルに
公開日時 2018/01/18 03:50
米国の2016年の総国民医療費は、対前年比4.3%増の3兆3372億ドルになったことが、米医療政策専門誌「Health Affairs」のまとめで明らかになった。同誌が、2017年12月6日、ワシントンDCで開催した記者会見で発表した。同会見には、米メディケア&メディケードサービス庁(CMMS)の担当者も列席した。
1人当たり国民医療費は、対前年比354ドル増の10348ドルとなった。対GDP(国内総生産)比では、2015年の17.7%から2ポイント上昇の17.9%となった。2016年の医療費の伸びは、2014年および2015年には、米政府がいわゆるオバマケア法(手ごろな価格のケア法:ACA)による保険給付拡大を図っていたため、両年それぞれ5.1%及び5.8%と大きな伸びを示していたため、その反動が浮き彫りになった格好だ。また、2016年には、メディケア(公的高齢者保険)や民間保険の加入者の傾向でも伸びに鈍化が見られた。このため、加入者1人当たりの医療費の伸びもメディケア全体の伸びに影響され、小幅な伸びとなった。
処方せん薬の薬剤費(小売り段階)は、2016年は、3286億ドルとなり、2015年の3245億ドルから微増となった。2014年および2015年は、それぞれ対前年比12.4%および8.9%の伸びを示していたので、かなり鈍化したことが明らかである。「Health Affairs」誌は、2014年および2015年の伸びは、新薬上市ラッシュおよび高価なC型肝炎治療薬の売上げ増などによるものと分析している。これに加え、承認された新薬数が、2014年は41品目、2015年は45品目と多かったのに比べ、2016年は22品目にとどまったことも影響しているとしている。このほか、糖尿病薬は急成長の薬効分野だが、2016年には糖尿病薬の成長が減速したこともその理由のひとつとして上げている。
ジェネリック医薬品(GE)の薬剤費は、全処方せん(数量ベース)の15%を占めているが、金額ベースでは、GEの価格引き下げにより減少している。しかし、数量ベースでは、2015年の対前年比1.4%増に比べ、2016年は対前年比1.9%増で、0.5ポイント増加している。これは、高血圧症、高脂血症及び精神疾患に対するGEの処方が増加したことによるという。