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新薬18製品が承認 経口C型肝炎薬ソバルディ、週1回DPP-4阻害薬ザファテックなど

公開日時 2015/03/27 03:52

厚労省は3月26日、新薬18製品32品目を承認した。セログループ2型C型慢性肝炎に対して初めて経口薬のみでの治療を可能にするソバルディ錠(ギリアド・サイエンシズ)や、血管新生阻害作用を持つ抗がん剤として初の胃がん適応の薬剤となるサイラムザ点滴静注液(日本イーライリリー)などが承認となった。また、週1回投与のDPP-4阻害薬ザファテック錠(武田薬品)も承認され、これはDPP-4阻害薬としてだけでなく経口血糖降下薬としても初の週1回製剤となる。通常どおりであれば、5月~6月頃に薬価収載となる。

承認された医薬品は次のとおり(カッコ内は一般名と申請企業名)

デュアック配合ゲル(一般名:クリンダマイシンリン酸エステル水和物/過酸化ベンゾイル、グラクソ・スミスクライン):「尋常性ざ瘡(にきび)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新医療用配合剤。再審査期間は残余期間(22年12月25日まで)。

1日1回、洗顔後に患部に適量を塗布して用いる。配合されている2成分は単剤としては承認済み。にきびの国内患者数は推定690万人以上。

エクリラ400μgジェヌエア30吸入用、同400μgジェヌエア60吸入用(一般名:アクリジニウム臭化物、杏林製薬):「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

通常、成人には1回1吸入を、1日2回吸入投与する。長時間作用型ムスカリンM3拮抗薬(以下LAMA)で、LAMA吸入用製剤としてはスピリーバ、シーブリに次ぐ3剤目。国内のCOPD患者数は推定500万人以上。

アシテアダニ舌下錠100単位、同舌下錠300単位(塩野義製薬):「ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。一般名として特定のものはなく、ヤケヒョウヒダニ及びコナヒョウヒダニからそれぞれ抽出・調製した、ヤケヒョウヒダニエキス原末及びコナヒョウヒダニエキス原末を等量混合した錠剤。再審査期間8年。

同薬のリスクなどについて十分に管理・説明できる医師・医療機関のもとで使用する。14年12月に鳥居薬品がほぼ同様の効能・効果の医薬品(=治療用ダニアレルゲンエキス皮下注「トリイ」)の承認を取得しているが、鳥居の製品が皮下注製剤なのに対し、同薬は舌下錠となる。

レンビマカプセル4mg、同カプセル10mg(一般名:レンバチニブメシル酸塩、エーザイ):「根治切除不能な甲状腺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病医薬品。再審査期間10年。全例調査を行う。

低分子化合物で、腫瘍増殖に関与する酵素を選択的に阻害して腫瘍の増殖を抑制する。切除不能または再発例では、一部の患者に放射性ヨード内服療法が行われるが、この分化がん以外の甲状腺がんでは確立した標準的治療法は存在せず、同薬が治療選択肢のひとつとなる。

ザファテック錠50mg、同錠100mg(一般名=トレラグリプチンコハク酸塩、武田薬品):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

通常、成人にはトレラグリプチンとして100mgを1週間に1回経口投与する。DPP-4阻害薬としては国内8成分目。週1回投与製剤としては類薬のDPP-4阻害薬のみならず、経口血糖降下薬としても初めてとなる。

エビリファイ持続性水懸筋注用300mg、同400mg、同300mgシリンジ、同400 mgシリンジ(アリピプラゾール水和物、大塚製薬):「統合失調症」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。持効性製剤で月1回投与。

ワントラム錠100mg(トラマドール塩酸塩、日本新薬):「非オピオイド鎮痛剤で治療困難な疼痛を伴う各種がん、慢性疼痛における鎮痛」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間4年。既存のカプセル剤は1日4回投与だが、同剤は徐放性製剤で1日1回。

オプスミット錠10mg(マシテンタン、アクテリオンファーマシューティカルズジャパン):「肺動脈性高血圧症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

血管の収縮に関与するエンドセリン受容体を阻害することで肺の血管を拡張し、病態を改善する。既承認の同受容体阻害薬と同様の位置づけで、治療の新たな選択肢とする。

ガドビスト静注1.0mol/L 7.5 mL、同シリンジ5mL、同シリンジ7.5mL、同シリンジ10mL(ガドブトロール、バイエル薬品):「磁気共鳴コンピュータ断層撮影における脳・脊椎造影、躯幹部・四肢造影」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

ガドリニウムキレート化合物の造影剤で、これを血液中に投与することでMRI画像の血管像を見やすくする。既存の類薬があり、選択肢の1つという位置づけ。

サデルガカプセル100mg(エリグルスタット酒石酸塩、ジェンザイム・ジャパン):「ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少、肝脾腫、骨症状)の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。

国内初のゴーシェ病に対する経口薬。ゴーシェ病は、酵素の不足または欠損により、体内にグルコシルセラミドが蓄積することで起きるもので、この薬剤は、蓄積物資の合成を阻害することで効果を発揮する。

ポマリストカプセル1mg、同2mg、同3mg、同4mg(一般名:ポマリドミド):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。

サリドマイド誘導体で、▽アポトーシス誘導▽サイトカイン産生抑制▽細胞免疫の活性化▽血管新生抑制――などの作用により骨髄腫細胞の増殖を抑制するとしている。同様の効能の治療薬は複数あり、治療選択肢のひとつに位置付けられる。

乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋注用「化血研」(乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)、化血研):「パンデミックインフルエンザの予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。

新型インフルエンザのパンデミック(大流行)対策の一環。流行してから開発、承認審査するのでは製造・供給が間に合わないため、予めモデルとなるプロトタイプを用意し、株の特定はせずに、製造や品質管理の方法を確認しておくことで、製造開始までのプロセスを短縮する。通常の季節性インフルエンザ対策には使用しない。同様のプロトタイプワクチンは、武田薬品、バクスターも既に承認を受けている。

シンフロリックス水性懸濁筋注(沈降10価肺炎球菌結合型ワクチン、ジャパンワクチン):「肺炎球菌(血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19F、23F)による侵襲性感染症及び肺炎の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

小児における肺炎球菌感染症に対するワクチン。同じような効能・効果ではプレベナー13水性懸濁注がある。日本で定期接種ワクチンとなった場合、全出生児が接種対象となり、接種者は年間100万人程度と推測される。

ノボサーティーン静注用2500(カトリデカコグ(遺伝子組み換え)、ノボ ノルディスク ファーマ):「先天性血液凝固第XIII Aサブユニット欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。全例調査を行う。

先天性血液凝固第XIII因子(以下、FXIII)Aサブユニット欠乏症は、FXIII Aサブユニットの量的・機能的な低下を特徴とする先天性の出血障害。同剤は国内初の遺伝子組み換えFXIII A サブユニット製剤で、欠乏したFXIII A サブユニットを補充することによって血液凝固カスケードを進行させ、止血を行う。

ソバルディ錠400mg(ソホスブビル、ギリアド・サイエンシズ):「セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

HCVの複製に関わる NS5Bポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する。この作用機序は国内初。また、今回の効能・効果を持つ経口治療薬も国内初。通常、成人にはソホスブビルとして400mgを1日1回、12週間経口投与する。リバビリンと併用して使う。

コペガス錠200mg(リバビリン、中外製薬):「ソホスブビルとの併用によるセログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は8年。

ソホスブビル(製品名「ソバルディ錠」)との併用レジメンを施行された国内臨床試験に基づき、ギリアドがソバルディの承認申請を、中外がコペガス錠の一変申請を行った。コペガスはRNAポリメラーゼ阻害作用などにより抗HCV作用を示す。日本では現在、インターフェロン製剤との併用でHCV感染症治療に用いられている。

オルドレブ点滴静注用150mg(コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、グラクソ・スミスクライン):「コリスチンに感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、アシネトバクター属(他の抗菌薬に耐性を示した菌株に限る)による各種感染症」を効能・効果とする新投与経路医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

他の抗菌薬で効果が得られない多剤耐性グラム陰性桿菌による感染症に対する最終的な選択肢とされる。

サイラムザ点滴静注液100mg、同静注液500mg(ラムシルマブ(遺伝子組み換え)、日本イーライリリー):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

血管新生阻害作用を持つ抗がん剤として、初の胃がん適応の薬剤となる。同剤はヒト血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)-2に対するモノクローナル抗体。がん細胞周辺での血管新生に関与するVEGFR-2に結合することで血管新生を阻害し、栄養供給を妨げることなどにより腫瘍の増殖を抑制する。通常、成人には2週間に1回、ラムシルマブとして1回8mg/kg(体重)をおよそ60分かけて点滴静注する。

【おことわり】
レンビマカプセルで下線部を修正しました。(3月27日16時45分)

【訂正】
オプスミット錠の会社名を訂正しました。
(誤)日本新薬 (正)アクテリオンファーマシューティカルズジャパン
(4月7日16時50分)

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