CSLベーリング・吉田社長 HAEに「End to Endで貢献」 急性発作発症抑制薬・アナエブリ発売セミナーで
公開日時 2025/04/22 04:48

CSLベーリングの吉田いづみ代表取締役社長は4月18日、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制薬・アナエブリ皮下注(一般名:ガラダシマブ)の発売に合わせたメディアセミナーで、「製品提供だけでなく、治療の継続や日常生活の健常化までEnd to Endで貢献していきたい」と述べた。同社では、HAEの症状や患者ニーズに応じた製品展開のほか、疾患啓発や治療環境の改善にも取り組んでおり、吉田社長は「40年以上にわたり研究をしてきたHAE領域のパイオニアとして今後も注力していく」と強調した。
アナエブリは「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」を効能・効果とするファースト・イン・クラスの抗活性化第XII因子モノクローナル抗体。活性化第XII因子(FXIIa)を標的とし、HAEカスケードの起点を阻害する。プレフィルドペン製剤で、月1回の皮下投与が可能。
国際共同第3相試験(VANGUARD試験)では、主要評価項目である6か月間の治療期における月間HAE発作回数がアナエブリ群(n=39)は0.27回/月で、プラセボ群(n=24)の2.01回/月より優位に低かった(検証的解析結果、p<0.001、両側Wilcoxon検定)。中央値はアナエブリ群で0.00回/月、プラセボ群で1.35回/月だった。また、6か月間の治療期に無発作(発作減少率100%)の患者割合はアナエブリ群が61.5%、プラセボ群が0%だった。なお、治療に関連する重篤な有害事象は認められず、注射部位反応がアナエブリ群で2例、プラセボ群で2例みられた。

アナエブリと同様の定期的投与による長期発作抑制(長期予防)薬には、同社のベリナート皮下注用や他社製品などもある。セミナーで講演した広島市立病院機構の秀道広理事長は「患者さん一人ひとりで個人差があり、薬の効き方も様々。なので、具体的な治療は患者さんごとに症状を把握しながら、医師と患者さんで決めていく必要がある」とした上で、アナエブリの特徴について「月に1回の皮下注で、注射の痛みも少ないと聞いており、患者負担がずいぶん少なくなる。これから使われていくことで効果を楽しみにしている」と期待を述べた。