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CSLベーリング ベリナート皮下注の宅配サービス開始 患者の負担軽減に 独自ホームデリバリーは2剤目

公開日時 2023/12/12 04:50
CSLベーリングは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作発症抑制薬ベリナート皮下注用2000の宅配サービスを12月1日から全国で開始した。患者サポートプログラムの一環として薬剤運搬の負担軽減につなげる目的で、同社独自の医薬品配送サービス「CSLホームデリバリー」では2剤目の導入となる。

ベリナート皮下注2000はHAE急性発作の発症抑制を効能・効果として2022年11月21日に発売。通常、1回体重1kg当たり60国際単位を週2回投与するため、体重60㎏の患者の場合、2ヶ月分では32セット約4㎏の薬剤を運ぶ必要がある。発売から1年が経過し、2週間の投薬期間制限が解除されたことで、今後は長期処方も見込まれることから宅配サービスを導入した。

◎独自のホームデリバリー 温度・追跡管理も実施 

CSLホームデリバリーでは、適切な温度管理(凍結を避けて30℃以下で保存)ができる専用の輸送ボックスを活用する。物流は佐川急便のチャーターサービスを使い、調剤薬局から配送を依頼。配送後は薬局に完了報告を行い、追跡管理も行う。同サービスは23年11月に始まった人免疫グロブリン製剤ハイゼントラ 20%皮下注に続いて2剤目。このほか、アルフレッサの宅配サービスを活用して血友病治療薬2剤でも宅配サービスを行っている。

◎長沼哲也マーケティング本部長「毎回薬剤を持って帰る患者さんの負担軽減に役立ちたい」

HAE領域でCSLベーリングは疾患情報サイトや投与方法の解説動画配信、疾患管理アプリ「HAE日誌」など、ペイシェント・ジャーニーに沿った患者支援を進めている。12月5日に都内で開催したメディアセミナーでCSLベーリングの長沼哲也マーケティング本部長は、「12月から長期処方が解禁になったと同時に、毎回薬剤を持って帰る患者さんの負担軽減にも役立ちたい。HAE領域ではさらなる開発パイプラインの準備を進めており、これからもしっかりと取り組んでいきたい」と話した。

◎HAE 症状に個人差大きく「テーラーメイドの治療必要」 広島市民病院・秀道広院長

国の指定難病「原発性免疫不全症候群」の一つに認定されているHAEは、主に遺伝子の変異により血液中のC1インアクチベーターの低下や機能異常により起こる病気。皮膚や腹部、唇、のどなどに腫れを生じ、気道をふさいだ場合は呼吸困難になり、命にかかわる場合もある。広島市民病院の秀道広病院長は、「様々な部位に症状が出て、個人差も大きく、HAEだと気付くことが難しい病気」と説明。そのために診断までの平均期間が約15年かかるとされる論文もある。近年は発作治療や予防などができる新たな治療薬も増えており、秀氏は「診断までも課題だが、症状に個人差があり、どう治療するかもまた課題。患者や状態ごとにテーラーメイドの治療を組み立てることが重要だ」と指摘した。
 

 
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