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HAE急性発作発症抑制薬・アナエブリなど新薬2製品承認へ 薬事審第二部会が了承

公開日時 2025/01/31 04:50
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は1月30日、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制を効能・効果とするCSLベーリングのファースト・イン・クラスの抗体製剤「アナエブリ皮下注」(一般名:ガラダシマブ)など新薬2製品の承認の可否を審議し、承認を了承した。

2025年から新有効成分含有医薬品の承認は年7回程度に増え、これに合わせて薬価収載も年7回程度となる。これにより、今回、第二部会を通過した新有効成分含有医薬品のアナエブリは、2月承認、4月薬価収載となる見通しで、従来より1カ月早まる。

報告品目は4製品で、いずれも承認が了承された。ジェンマブのエプキンリ皮下注が濾胞性リンパ腫(FL)(グレード1~3A)に使用可能になることや、サノフィのサークリサ点滴静注が多発性骨髄腫(MM)の1次治療で使用可能になることが含まれる。2月中に承認される見通し。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

アナエブリ皮下注200mgペン(ガラダシマブ(遺伝子組換え)、CSLベーリング):「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

ファースト・イン・クラスの抗活性化第XII因子モノクローナル抗体。活性化第XII因子(FXIIa)を標的とし、HAEカスケードの起点を阻害する。用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には、初回に400mgを皮下投与し、以降は200mgを月1回皮下投与する」。

HAEは、腹部、上気道、顔面、四肢等、身体中のさまざまな箇所に疼痛を伴う予測不能な腫れを繰り返し起こす遺伝性の希少疾患であり、生命を脅かす可能性がある。国内では、定期的投与による長期的な発作の発症抑制(長期予防)薬として、オラデオカプセル、タクザイロ皮下注、ベリナート皮下注用が承認されており、それに続く。

海外でアナエブリは、英国とオーストラリアで承認されているという。

テセントリク点滴静注1200mg、同点滴静注840mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「切除不能な胞巣状軟部肉腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。

抗PD-L1抗体。胞巣状軟部肉腫に対し国内初の免疫チェックポイント阻害剤となる。これまでテセントリクは各効能で成人用量のみ設定されていたが、胞巣状軟部肉腫については、小児用量も追加という形になる。

新効能に対する用法・用量は「通常、成人には1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。通常、2歳以上の小児には1回15mg/kg(体重)(最大1200mg)を60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる」。

胞巣状軟部肉腫は、悪性軟部肉腫の1%未満と超希少がんのひとつで、日本人における年間発症数は15~40人と推定されている。大腿を中心に四肢に発症することが多く、思春期および若年成人(15~35歳、AYA世代)での発症が多くみられるという。

海外でテセントリクは、2024年10月時点において、切除不能な胞巣状軟部肉腫に係る効能・効果で、2つの国又は地域で承認されている。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

エプキンリ皮下注4mg、同皮下注48mg(エプコリタマブ(遺伝子組換え)、ジェンマブ):「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade1~3A)」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は、2031年9月24日まで。

CD3及びCD20に対する二重特異性抗体製剤。現在「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」の適応を持っているが、効能・効果に関連する注意で「十分な経験を有する病理医により、Grade3Bと診断された患者に投与すること」とグレード3Bに限定されている。今回、グレード1~3Aに投与できるようになる。

FLのグレード3Bの用法・用量は2ステップの漸増(1回0.16mg→0.8mg→48mg)となっているが、グレード1~3Aでは3ステップの漸増(1回0.16mg→0.8mg→3mg→48mg)となる。

国内では、再発・難治性FL(グレード1~3A)に対する二重特異性抗体としてルンスミオ点滴静注、CAR-T細胞療法としてキムリア点滴静注、ブレヤンジ静注が承認されている。

海外でエプキンリは、2024年10月時点において、再発・難治性FLに係る効能・効果で、20以上の国及び地域で承認されている。

サークリサ点滴静注100mg、同点滴静注500mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「多発性骨髄腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は、2028年6月28日まで。

抗CD38抗体。現在の適応は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」であり、今回承認されると未治療のMMに1次治療(ファーストライン)で使用できるようになる。ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾンにサークリサを追加する併用療法(IsaVRd)となる。

同じ抗CD38抗体を含むダラキューロ配合皮下注は、既に未治療MMのファーストラインで使用されている。

海外でサークリサは、2024年10月時点において、未治療MMに係る効能・効果で、1カ国(米国)で承認されている。

レブラミドカプセル2.5mg、同カプセル5mg(レナリドミド水和物、ブリストル・マイヤーズスクイブ):「多発性骨髄腫」を効能・効果とする新用量医薬品。

免疫調節薬(IMiDs)。MMに対する1次治療でサークリサと併用することになるため、その用量を追加するもの。

ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL、同皮下注40mgペン0.4mL(アダリムマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ):「X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。

抗TNFα抗体。24年8月の第二部会で公知申請に係る事前評価が終了し、すでに保険適用されている。新効能での用法・用量は「通常、成人には40mgを2週に1回、皮下注射する」。海外でヒュミラは、欧州において、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎に係る効能・効果で承認されている。
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