ソニーグループ 疾患予防や医薬品評価に「dBM」を活用へ 国がん東病院と徳島大学で臨床研究を開始
公開日時 2024/12/17 04:51
ソニーのグループ会社が手掛ける、ウェアラブル端末とクラウドソリューションを組み合わせたサービス「mSafety」がヘルスケア領域で展開を広げている。ソニーネットワークコミュニケーションズは12月16日、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)と徳島大学(徳島市)でmSafetyを活用した臨床研究が開始されると発表した。mSafetyのプラットフォームから得られるバイタルデータを使って、患者の健康状態や医薬品の効果を客観的に評価する「デジタルバイオマーカー」(dBM)の探索やアプリ開発などを目指す。
mSafetyはネットワークに常時接続可能なウェアラブル端末とクラウドマネジメントソリューションからなるB2B向けウェアラブル・アズ・ア・サービス。23年からサービス提供を始めた。腕時計型の端末は加速度、ジャイロ、PPG(光電式脈波)を測定し、心拍数や歩数、行動検知、睡眠、推定消費エネルギーなどを測ることができる。クラウドマネジメントソリューションに接続され、mSafetyプラットフォームを構成し、別のプラットフォームやサービスとも連携することができる。
◎ローデータの活用も可能 研究機関がデータ所有で利用許諾もシンプルに
従来のウェアラブル端末と比べると、センサーデータは必要に応じて、加工されていないローデータのまま使用できることが強み。データの所有権は研究機関側が持つことが可能で、患者などエンドユーザーとの利用許諾もシンプルに行うことができるという。こうした特長からヘルスケア領域では、データ解析や新たな評価指標の構築などデジタルバイオマーカー(dBM)の開発に向けた活用を見込んでいる。
dBMの活用における応用例としては、適切な治療法へのアクセシビリティ向上や、医薬品の新たな評価手法の確立、正しい状態把握による適切な介入の実現なども想定されている。
◎徳島大学の臨床研究 循環器疾患の予防・早期発見に向けたdBM探索目指す
臨床研究での活用が始まる。導入が決まった国内二つの臨床研究のうち、徳島大学では脳卒中や心筋梗塞など循環器疾患の予防、早期発見ツールの研究開発でmSafetyを活用。循環器疾患の前兆となる指標や慢性疼痛の客観的指標となるdBMの探索やアプリ開発を目指すという。同大学医学部の渡邊毅助教は「PPG 信号などのローデータを使用でき、匿名化された対象者のデータをクラウド上で安全に管理できることが評価できる」としている。