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日本IBMと神戸医療産業都市推進機構 AIで新薬開発プロセスを変革 医療データでコスト・時間を短縮

公開日時 2024/09/11 04:51
日本IBMと神戸医療産業都市推進機構は9月10日、東京都内で記者会見し、AI技術と電子カルテ等の医療リアルワールドデータ(RWD)を活用し、新薬開発プロセスの業務変革支援に取り組むと発表した。電子カルテ等の医療データを用いて治験と患者のマッチングを早期に実現する。また、生成AIの活用を通じて膨大な承認申請の事務作業を省力化し、治験に要する費用や時間の最適化を図ることが狙い。日本IBMの山口明夫代表取締役社長は会見で、「我々は基本的にオープンな戦略をとっている。他社の電子カルテを導入している医療機関やベンダーと組むことで、より高度な医療ソリューションの早期展開ができるのであれば検討したい」と意欲を示した。このほかDCT(分散型臨床試験)についても対応できるよう進めることも明かされた。

日本IBMと神戸医療産業都市推進機構は9月5日付で、「AI組み込み型の臨床開発業務の実現に向けた戦略的パートナーシップ」に関する基本合意書を締結した。それぞれの役割は、日本IBMがオープンAIを活用した臨床開発支援システムを開発する一方、神戸医療産業都市推進機構は、産官学医の連携促進、革新的新薬シーズの創出、臨床開発の早期化と上市支援、製薬企業と病院が連携した実用化の推進などを担う。

◎電子カルテの中からAIが治験にマッチした患者を探し出して提示

両者がシステム開発する「AI組み込み型の臨床開発」(AICD)は、電子カルテスクリーニングなどの機能が含まれる。電子カルテの中から生成AIが治験にマッチした患者を探し出して、医療者に提示する機能を有する。会見で日本IBMの先崎心智ヘルスケア&ライフサイエンス・サービス理事は、「これまでの患者マッチングはCRCが多忙な業務の中で行っていた。AICDはその業務負荷を下げるのと同時に、どこの施設にどれぐらい患者がいるか分かるので、治験のみならず、様々な臨床研究にも応用できるようになる」と強調した。

◎有害事象情報の検知にAI活用 年内中に大学病院の関連施設に対象を広げたい

先崎理事はまた、有害事象情報検知へのAI活用について、「Pub Med等の論文情報やテキスト情報から実施中の治験薬品に関連する論文を検索し、その中から有害事象をAIが見つけてくれる」と指摘。当該薬剤との因果関係や重篤度をAIが一次判定することが可能になると説明した。なお、先崎理事は今回の取り組みに参加する医療機関の数について、「当初はIBMの電子カルテの入っている施設になる」と述べながら、神戸大や京都大などの参加を視野に入れた。また、「他社の電子カルテを導入している医療機関のデータもみていけるように取り組んでいきたい」と述べながら、年内中に大学病院の関連施設にも広げていく考えを示した。

◎川本篤彦センター長「製薬企業などライフサイエンス企業との連携をより円滑に進めたい」

神戸医療産業都市推進機構・医療イノベーション推進センターの川本篤彦センター長は、今回のシステム開発について、「治験のリクルート促進のマッチングシステムなどのプロトタイプの完成を目指すということに助言させていただきながら参加したい」と強調。また、「システムが出来上がった際には、実際にどのぐらい使えるものなのか評価できる治験の場を作るなど貢献させていただきたい」と語った。産官学医連携については、「日本IBMをはじめ製薬企業などライフサイエンス企業との連携をより円滑に進めたい。我々は医療機関のネットワークを沢山持っているので、医療機関と製薬企業、あるいは日本IBMとの連携を促進していくとの役割を果たしていきたいと考えている」と強調した。
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