日本IBM 乳がん患者への「対話型疾患説明生成AI」実運用開始 医薬基盤研、大阪国際がんセンター
公開日時 2024/08/27 04:50
日本アイ・ビー・エムは8月26日、医薬基盤・健康・栄養研究所、大阪府立病院機構大阪国際がんセンターと乳がん患者に対する「対話型疾患説明生成AI」の実運用を開始したと発表した。今年3月から共同研究を進めた「生成AIを活用した患者還元型・臨床指向型の循環システム(AI創薬プラットフォーム事業)」の一環。対話型乳がん疾患説明生成AIの導入により説明と同意取得に要する時間の30%軽減を目指すほか、乳がん診療の均てん化によって医療の地域格差是正を期待している。
今回の取り組みは、医療機関の電子カルテデータをクラウド上へバックアップ、構造化し、一つにまとめることで、リアルタイムの医療ビッグデータとして医学の発展に寄与する基盤構築を目指すというもの。併せて、これらデータは災害対策等に備えた強力なバックアップとしても期待されている。一方で、収集したデータを大学や研究機関が適切に活用できるよう、患者への説明や同意の取得、問診による臨床データの収集など、適切かつ最適な内容で情報を収集するシステム構築が重要となっている。
こうした状況から日本IBMは、生成AIを活用して患者への説明や同意を取得する「対話型疾患説明生成AI」および「患者説明・同意取得支援AI」、来院前に入力したWeb問診結果を生成AIが解析する「問診生成AI」、患者の治療やケアについて医療関係者間で情報共有する看護カンファレンスの内容の自動音声入力や看護師と患者との電話応対記録を自動作成する「看護音声入力生成AI」の開発と動作検証を進めてきた。
8月から実運用した「対話型乳がん疾患説明生成AI」は、AIアバターと生成AIチャットボットを組み合わせた双方向型の会話システム。患者は、受診前にQRコードからwebブラウザーにアクセスし、診療前の自由なタイミングで疾患の説明動画を視聴したり、疑問点をチャットボットへキーボードや音声で入力して、生成AIと対話形式で質問する。これにより疾患と治療に対する理解を深めることができるというもの。
対話型疾患説明生成AIシステムは、IBMのAIおよびデータのプラットフォームであるIBM watsonxでAI基盤を構築し、IBM watsonx.ai でサポートされている最新の大規模言語モデル(LLM)を活用する。このほかに消化管内科でも対話型疾患説明生成AIの運用を2025年1月から開始する予定。